世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】

本記事はニュースレター配信サービス「theLetter」を運営する株式会社OutNow代表取締役の濱本至氏による寄稿記事です。世界で流行しているニュースレターですが、どんな形式があるのか、解説します。 theLetterという、ニュースレター配信ができるサービスを運営してい…

メディア その他
世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】
  • 世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】
  • 世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】
  • 世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】
  • 世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】
  • 世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】
  • 世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】
  • 世界で大流行のニュースレター、人気のフォーマットを解説【寄稿】

本記事はニュースレター配信サービス「theLetter」を運営する株式会社OutNow代表取締役の濱本至氏による寄稿記事です。世界で流行しているニュースレターですが、どんな形式があるのか、解説します。

theLetterという、ニュースレター配信ができるサービスを運営している濱本と申します。今回、世界で大流行中のニュースレターは、どんなコンテンツが多いのか?どんなフォーマットで書かれているのか?について、ご紹介していきたいと思います。

文章の終盤で国内での事例も少しご紹介しているので、「これからニュースレターをはじめたい!」「ニュースレターを強化したい!」という方に参考になれば幸いです。

はじめに:ニュースレターはどれだけ注目されているか?

まず、ニュースレターのフォーマットをご紹介する前に、ニュースレターがどれほどグローバルで注目されているか?について軽く触れておきます。

グローバルでは、メディアやジャーナリスト、ブロガーなど、多くの人々がニュースレターを配信し、近年大成功を収めるようになってきています。アメリカではインターネットメディア上での栄誉あるジャーナリズム賞であるOnline Journalism AwardにもExcellence in Newslettersというニュースレター部門が2020年より新設されたり、ロイタージャーナリズム研究所が2020年は「ニュースレターの年」だったと総括していることからも、ニュースレターの熱狂ぶりがうかがえます。

Excellence in Newsletters – Online Journalism Award

こうした動向があるのは、大手メディアがニュースレターに本格的に投資し始めた事例や、新興ニュースレターメディアの成長や買収などの成功事例が、近年どんんどん増えきたという背景があります。

例えば、ミレニアル世代向けのニュースレターMorning Brewは、250 万人以上の読者を抱えており、ビジネスメディア「ビジネス・インサイダー」を運営するInsider,Inc.とその親会社であるアクセル・シュプリンガーによって2020年10月に買収され成功を収めました。

また、シリコンバレー発で150万人以上が登録しているニュースレターThe Hustleも、マーケティングソフトウェア企業のHubSpot社が2021年の2月に買収するとのプレスリリースがありました。買収額は非公開ですが、同じくニュースレターメディアとして有名なAXIOSによると、約28億円と評価されているとのことです。

こうしたことから、グローバル、とくに英語圏でのニュースレターへの注目の高まりぶりがわかるかと思います。

成功を収めるニュースレターフォーマットとは?体系立てて全て解説

それでは本題です。英語圏を中心に成功を収めているニュースレターのフォーマットについてリサーチしたので、体系立てて事例をご紹介していきたいと思います。

この記事では、ニュースレターフォーマットの種類を、以下の6種類に分類しました。

  • ブログ型(エディトリアル型)
  • キュレーション型
  • ハイブリッド型
  • ポップアップ型
  • プロダクト型
  • メルマガ型

では1つ1つ事例付きでご紹介します。

ブログ型(エディトリアル型)

まず、最も始めやすく、ポピュラーな形式としてはブログ型(エディトリアル型)があります。ブログ型(エディトリアル型)は、1記事で1つのテーマを扱い、詳述していくようなスタイルです。既存のブログやメディアで発信される記事と同じ形式です。

個人でも始めやすく、専門性を発揮しやすいフォーマットで、文字数が多いことが特徴です。オピニオン記事やHow to系の記事と相性が良いかもしれません。海外でこの形式を取っているのは、Online Journalism Awardで Excellence in Newslettersにも選ばれたPopular Information、有料読者1万人を超えるThe Christian Science Monitor Dailyなどがあります。

Popular Information

キュレーション型

次に、キュレーション型です。この形式は多くの情報をリンク集としてまとめたものです。

通常、1つのリンクに対して数百文字程度の解説・コメントがつきます。AXIOStheSkimm、Morning Brewなど、成功事例が多いフォーマットです。

左から、theSkimm、AXIOS、Morning Brew

時事性のあるニュースやその解説などを伝えるのに相性が良く、ネタが尽きにくいことが特徴です。時事性があるコンテンツが多いため、配信頻度も毎日など、高めである場合が多いです。

ハイブリッド型

そして、上記でご説明したブログ型(エディトリアル型)とキュレーション型をかけ合わせたフォーマットであるハイブリッド型も、英語圏でのニュースレターでは非常によくみられるフォーマットです。

ハイブリッド型のニュースレターフォーマットでは、1つのニュースレター内に複数のコーナーがあります。ブログ型(エディトリアル型)のフォーマットを取ったコーナーと、キュレーション型のフォーマットを取ったコーナーが、1本のニュースレター記事内に共存しているといった形です。

例えば、有名投資家Benedict Evans氏が運営する読者15万人を抱えるニュースレターでは、オピニオン記事を紹介するコーナーの「My Work」、Evans氏がピックアップする業界ニュースのリンク集である「News」、アイデア集の「Ideas」などの複数コーナーが1通のニュースレター内で楽しめます。

Benedict’s Newsletter

ポップアップ型

ポップアップ型のニュースレターは、期間限定のニュースレターです。大型ニュースレターメディアの1つの実験的な施策として始まるケースが多いようです。短期間で大きな注目を集めることで、メインで運営しているニュースレターメディアを認知してもらえるといった効果があります。

例えば、ワシントン・ポストは、2018年のワールドカップ開催期間にワールドカップに関するポップアップ型のニュースレターを運営していました。Quartzは、ダボス会議やSXSWといったイベント開催に合わせて、イベント開催現地にいるレポーターが執筆したニュースレターを期間限定でポップアップ型のニュースレターとして配信し、Quartz が運営するメインのニュースレターであるQuartz Daily Briefの購読者を伸ばしました。

プロダクト型

ニュースレターがコンテンツというより「商品そのもの」といったパターンは、プロダクト型のニュースレターとして分類しました。Scott’s Cheap Flightsは、サイト上でよく利用する空港を登録しておくと、格安航空券をメールでお知らせしてくれます。コンテンツとして消費される、というよりは届いた時点でサービスの役割を果たしています。サービスの1つの機能としてニュースレターを活用しているケースです。

Scott’s Cheap Flights

メルマガ型

日本でも古くからあるメルマガと、グローバルで流行しているニュースレターは明確に違いがあるように思います。過去にその違いを説明する、メルマガとニュースレターの違いについてという記事を書きました。

メルマガとニュースレターには、国内で辞書的な定義の違いはありません。読者目線から整理すると、ニュースレターはそのコンテンツが欲しくて能動的に登録したもの。一方、メルマガは企業などのマーケティングのために仕方なく登録させられたもの、という違いを上記記事でご説明しました。ニュースレターは、Web サイトやアプリの数字を上げるための導線がメインというよりは、1つの読み切りコンテンツとして制作されているという大きな特徴があります。

こうした整理に基づいて、ニュースレターではないものをメルマガ型と今回分類しました。日本ではニュースレターがまだまだ普及していないので、皆さんが受け取っているメールの多くはこのメルマガ型なのではないでしょうか。

日本でもニュースレター配信の模索が始まる

ここまで、グローバルで大流行しているニュースレターの分類についてご紹介してきました。こうしたグローバルでの流れを受けて、日本でも個人・法人でニュースレター配信の模索が始まっています。

日本経済新聞は、2019年4月にNIKKEI Briefingというニュースレターを選んで購読できるサービスを展開しています。「編集局長が振り返る今週の5本」「シリコンバレーから現地報告」など、テーマごとに掘り下げた約13テーマのニュースレターを選んで購読できます。

朝日新聞デジタルでも、2019年3月にニュースレターを刷新したり、ニュースレターだけのオリジナル記事である「アナザーノート」を開始したりと、ニュースレターに注力し始めています。

一方、決算メディアのStrainerがMorning Brewライクなニュースレターを毎日配信し始めていたり、NewsPicksのユーザベース社が運営するニュースレターメディアのQuartz Japanが成長していたりと、新興インターネットメディアによるニュースレター配信も始まっています。個人やチームとしては、佐々木康裕氏ら3名で運営されているLobsterr Letter、マーケティングに関するニュースレターMarketing Media Lab、化粧品メーカー研究者が美容情報を解説するBeauty Science Newsなど、多くのユニークな人気ニュースレターメディアが立ち上がりはじめています。

左から、Beauty Science News、Marketing Media Lab

そして、私自身はtheLetterというニュースレター配信サービスを運営しておりますので、ニュースレター配信に興味のある方はTwitterなどにコンタクトください。

国内外のニュースレターの今後に注目です。

《Hideaki Taga》

関連タグ

特集