Spotify、ユーザー数5億人が視野に・・・損失拡大も株価は急騰

Spotifyは、今週火曜日に第4四半期の決算を発表し、予想以上の損失拡大と粗利率の改善という複雑な決算内容を報告しました。市場は、月間アクティブユーザー数が、アナリスト予想の4億7800万人の予想に対し、4億8900万人と予想を上回り、プレミアム会員と広告付き会員が…

企業 その他
Spotify、ユーザー数5億人が視野に・・・損失拡大も株価は急騰

Spotifyは、今週火曜日に第4四半期の決算を発表し、予想以上の損失拡大と粗利率の改善という複雑な決算内容を報告しました。市場は、月間アクティブユーザー数が、アナリスト予想の4億7800万人の予想に対し、4億8900万人と予想を上回り、プレミアム会員と広告付き会員がともに予想を上回る急増をしたため、株価は急騰し、9%以上上昇しました(が、過去12カ月では49%下落。)

Spotifyの月間アクティブユーザー数の伸びの主要因は、マーケティングキャンペーンと、インドとインドネシアでの成長にあります。Spotifyのガイダンスとアナリストの予測4億7790万人を上回り、4億8900万人に増加しました。12月期にプレミアム会員を1000万人追加し、その数は2億500万人に達し、今期、広告付きと有料の全加入者層を含め、5億人のユーザーを突破する見込みです。

特筆すべきは、Spotifyの広告事業が、厳しいマクロ経済環境にもかかわらず、堅調な成長を遂げたことです。同社の広告対応収益は、広告対応MAUが25%増の2億9500万人に達したことにより、14%増の4億4900万ユーロ(4億8800万ドル)となりました。

また同社の総売上は18%増の32億ユーロ(34億ドル)に達しましたが、成長投資が利益率を圧迫し、2億3100万ユーロ(2億5100万ドル)の営業損失を計上したという点が投資家をやや躊躇わせました。

CEOのダニエル・エク氏も「昨年中にも申し上げましたように、2022 年度は、営業費用が総収入を上回り、会社にとって投資の年となりました。今後、全社的な効率化を進め、総収益が営業費用よりも速く成長し始めると予想しています。」と述べると共に「その結果、2023年以降において、営業費用比率および営業損益の有意な改善を見込んでいます。」と付け加えました。

これは、先週、ダックス・シェパード(3年で5000万ドル)やジョー・ローガン(3年で2億ドル)といったポッドキャスターとの契約を担当した最高コンテンツ責任者ドーン・オストロフを含む従業員の6%を削減する発表があったことが予兆となる営業予算の縮小を示唆していると思われます。

また昨年の大型投資への反省も含まれます。Spotifyは、昨年のSEC文書で、オーディオストリーミングの巨人は、昨年11月に初めて買収計画を発表したデジタルオーディオブック配信会社Findawayに現金で1億1700万ユーロを支払いました。これとは別に、Spotifyは、PodsightsChartableにも現金で 8300 万ユーロを支払っています。この 2 社は、Podcast の測定と分析機能をサポートするために買収した企業です。更にトップガン続編でヴァル・キルマーの声のシミュレーションに使われたAI音声プラットフォーム、Sonanticを買収し、4社の買収額は、合計2億9100万ユーロ(約295億円)を支払っています。更に”特定の従業員 “の雇用継続次第で、将来的に2100万ユーロの追加現金支払いが発生する可能性があることも明らかにしました。確かに投資の年だったと言えます。

なお、収益の主要なプロダクトにはポッドキャストがあったことは言うまでもありません。

《前田邦宏》

関連タグ

前田邦宏

前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

特集