アマゾン、過去最大の年間純損失27億ドル・・・売上高は予想を上回るものの、1株当たりの純利益は下振れ

アマゾンの2022年第4四半期の決算報告では、アナリスト予想と異なり、収益の上振れを記録したものの、EPS(1株当たり純利益)と第1四半期のガイダンス予想がともに下回りました。 以下は、アナリストの予想と比較した、報告書の主要数値です。 ・第4四半期の売上高: 予…

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アマゾン、過去最大の年間純損失27億ドル・・・売上高は予想を上回るものの、1株当たりの純利益は下振れ

アマゾンの2022年第4四半期の決算報告では、アナリスト予想と異なり、収益の上振れを記録したものの、EPS(1株当たり純利益)と第1四半期のガイダンス予想がともに下回りました。

以下は、アナリストの予想と比較した、報告書の主要数値です。

・第4四半期の売上高: 予想1,458億ドルに対し実績1,492億ドル
・第4四半期オンラインストア売上高:予想650億3000万ドルに対し実績645億ドル
・第4四半期実店舗売上高:予想49.3億ドルに対し実績49.5億ドル
・第4四半期の1株当たり利益(EPS)。予想17セントに対し実績3セント
・第4四半期 アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)売上高:予想217億6000万ドルに対し実績213億ドル
・第4四半期 営業利益:予想25.1億ドルに対し実績27億ドル

先週、マイクロソフトが決算説明会で、クラウドの成長が減速していることを示唆していたとおり、AWSの売上が伸び悩んでいるのは、長い間同社のビジネスの柱だったこともあり、アマゾンにとって大きなダメージに違いありません。

さらに、アマゾンの2022年全体の純損失は27億ドルであり、モーニングスターによれば、アマゾンにとって2014年以来のものであり、かつ同社にとって過去最大の年間損失となります。同業他社と同じく、デジタル広告の減速、高インフレ、金利上昇の中、同社の株価は約47%下落し、パンデミックの初期に生まれた膨大な需要も収縮して、株価もそれと同じく下落して続けています。その上、過去最大の18,000人の従業員を削減することを検討しています。

「短期的には、我々は不確実な経済に直面しているが、アマゾンの長期的な機会についてはかなり楽観的であり続ける」とアンディ・ジャッシーCEOは述べていますが、Amazonが標榜する<善の循環図>をジェフベゾスが紙ナプキンに描いた時代にはいなかった競合が増えた今、「ストリーミング・エンターテインメント、顧客第一のヘルスケア、世界中のより多くのコミュニティへのブロードバンド衛星接続など、その他の幅広い顧客体験への投資とイノベーションを考慮すると、将来について楽観的になる理由があります」と言うCEOでは株価が上がらない不安もあります。ジェフベゾスの復帰説がなくなるよう、新しいヴィジョンの提示もアンディ・ジャッシーCEOに期待したいところです。

《前田邦宏》

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前田邦宏

前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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