再びプラットフォームとパブリッシャーの対立が激化【Media Innovation Weekly】8/7号

プラットフォーム企業とパブリッシャーの対立が再び深まっているようです。

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再びプラットフォームとパブリッシャーの対立が激化【Media Innovation Weekly】8/7号

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今週のテーマ解説 再びプラットフォームとパブリッシャーの対立が激化

プラットフォーム企業とパブリッシャーの対立が再び深まっているようです。

カナダでプラットフォーム企業がニュースコンテンツを利用する際に、パブリッシャーに対して支払いを義務付ける法律が6月末に成立しました。FacebookやInstagramを運営するメタは、これが成立したらプラットフォーム上でのニュースコンテンツをブロックすると脅してきましたが、これを履行したようです。

「オンラインニュース法を履行するために、本日、カナダでのニュース提供を終了するプロセスを開始しました。今後数週間をかけてカナダでFacebookとInstagramにアクセスする全てのユーザーに適用されます。カナダの報道機関にとって、彼らが投稿したニュースリンクやコンテンツがカナダの人々に閲覧できなくなることを意味します」とメタは8月1日に更新された投稿で述べました

Googleを運営するアルファベットは同法が発行すれば(12月に予定されている)、国内のニュースコンテンツを削除すると述べています。

カナダの文化遺産大臣のパスカル・セント・オンジ氏はTwitter上で「彼らはニュース組織に正当な対価を払う代わりに、国民が良質なローカルニュースにアクセスすることをブロックすることを選択した」と批判。「GoogleとFacebookはカナダのデジタル広告の8割のシェアを持ち、同時に多くのニュースメディアが閉鎖に追い込まれました。自由で独立した報道は民主主義の基盤であり、カナダはテック大手が我々の法律に従う事を期待しています」と述べました。

メタは2021年にオーストラリアで同様の法案が成立した際にもニュースをブロックする措置を講じ、その後、パブリッシャーと個別に契約を結び、対価を払うという道を選択しました。

また、フランスの通信社、Agence France-Presse(AFP)はTwitter(最近Xにリブランディングされた)を運営するX社を告訴したと発表しました。

フランスでは2019年に著作隣接権法を改正し、ニュース出版社が制作したテキストやビデオなどのコンテンツにも著作権法を2年付与し、コンテンツを共有するサイトに対して報酬について交渉することを義務付けています。

AFPはプレスリリースで、X社が交渉を明確に拒否していることに懸念を示しました。AFPは、過去にグーグルがニュースを使用することについてパブリッシャーと公平な合意に達する気がないとして2020年に提訴。2021年に5億ユーロの賠償を勝ち取っています。

他方、X社のオーナーであるイーロン・マスク氏は「私達は彼らにトラフィックを支払っていて、広告収益を上げている。我々はそうではない。おかしな話だ」と投稿しています。

今度の対立も一筋縄ではいかなさそうです。

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編集部からひとこと

連日暑い日々が続いていますね、ヘロヘロな筆者です。久しぶりの花火大会にも各地に人が集まっているようです。筆者もかなりの遠くからですが隅田川の花火大会を見ました。近くはかなりの人混みだったようです。暑いし「どうぶつの森」の花火くらいでいいかな・・・。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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