2023年はメディア業界にとってどのような一年になるでしょうか? Media Innovationに縁を持っていただいた皆様に、今年の振り返りと、2023年に向けての展望を伺いました。
神戸大学在学時に、位置情報SNS「ColonyTale」をリリース。株式会社リッチメディアではマーケティング経験を積み、2017年からフリーランスとして、複数のマーケティング業務や事業立ち上げ、iOS開発業務等を受ける。2018年4月より、株式会社OutNow 代表取締役をつとめる。2020年7月「theLetter」をローンチ。
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今年の仕事を振り返ってみて、いかがでしたか
今年は、ニュースレターメディアプラットフォーム『theLetter』として「コンテンツを配信できる」だけではなく、メディアと読者の双方向性・コミュニティ要素をいかにつくるか?ということに取り組んだ一年でした。
最近はとくに SNS 不安が広がっています。米中関係の問題から「TikTok が日本や米国で閉鎖されるのでは」と噂が広がったり、イーロン・マスク氏の Twitter 買収騒動により、SNS の外側にコミュニティをつくるニーズがクリエイターたちに危機感として出てきています。
SNS 側もコンテンツで課金ができるよう機能追加してきている中で、メディア系プラットフォーム側(クリエイターエコノミースタートアップ)もコミュニケーション要素やソーシャルグラフをつくっていく仕組みを持ちはじめています。
そんな中で theLetter としては書き手と読者が話せる「スレッド機能」のリリースや、コミュニケーションを促進するために必要となるログ基盤の開発などに集中的に取り組みました。
2022年のメディア業界で印象に残ったことを教えてください
ニュースレターメディアの世界から見れば、より市場の再編が進んだ一年だったと思います。
Facebook のニュースレタープラットフォーム『Bulletin』に続き、Twitter が過去買収した『Revue』の閉鎖発表など。
また、海外の産業系のバーティカルニュースレターメディア『Industry Dive』、簡潔さが売りのニュースレターメディア『Axios』も大きな金額で買収されるなど、大型プレイヤーが次々に Exit しました。
『BeReal』が代表的ですが、既存 SNS のアンチテーゼとして市場で受け入れられている新興 SNS の台頭もあり、クリエイターにとってはより選択肢が広がった一年だったと思います。
2023年のメディア業界、ご自身の取り組みたい仕事について教えてください
厳しい市況感があるメディア産業全体としては、よりセンセーショナルにニュースを見せ、PV を集める流れは加速せざるを得ないと考えております。
そうした構造をはらみつつ、パンデミックや戦争などで市場が混乱する出来事は 2023 年も残念ながら起こることでしょう。
そのような状況下では、より情報の「深さ」をもったメディア、あるいは専門家の「オピニオン」などの情報は相対的に価値が高まると考えており、専門的でニッチな情報でもきちんと収益化できるメディアインフラをつくることに、theLetter としては引き続き尽力したいです。
2022 年はある種、我慢の年でした。よりスケールするために本当に必要な機能を時間をかけて検証したり、書き手ユーザーや読者へのインタビューを重ね、顧客理解への解像度が高まりました。
そうして得た知見を機能や施策に落とし込み、2023 年はより「theLetter にしかできない」シンプルな優位性・差別化要素を積極的につくりにいく「打って出る年」と考えております。
2023 年もどうぞよろしくお願いいたします。