2026年2月21日のデジタルメディア業界の主要ニュースをまとめてお届けします。
AI×メディア・著作権
欧州パブリッシャー評議会、GoogleのAI機能を巡りEU競争法違反を正式申立て (Media Innovation)
News UK、Axel Springer、Guardianなど欧州大手が結集し、AI OverviewsやAI Modeによるトラフィック・収益減少を問題視。AI検索とパブリッシャーの対立が法的フェーズに突入しました。
パブリッシャー、AI検索での可視性ノウハウをブランドに販売開始 (Digiday)
ForbesやFutureが「AI引用される力」自体を収益化する新ビジネスモデルを展開。防御から攻めへの転換が始まっています。
AI時代のコンテンツ価値はどこへ向かうのか――「AI×コンテンツライセンスの最前線」イベントレポート (ExchangeWire Japan)
TollBitによるAIアクセス収益化ソリューション、メディアジーン・東洋経済・中国新聞社のAI対応戦略が語られました。
AIがフリーランスジャーナリズムを変える――速度向上とフェイク・信頼喪失のジレンマ (Reuters Institute)
AIツールが報道スピードを上げる一方、誤情報リスクと信頼喪失を加速させる両面性を指摘。
AIエージェント時代の共通言語「Markdown」とは (Digiday)
AIエージェントがコンテンツを取得・処理する際のフォーマットとしてMarkdownが標準化。パブリッシャーのAI対応に直結するテーマです。
プラットフォーム規制・訴訟
無限スクロールが法廷へ――Meta・Google相手のSNS依存症訴訟、初の陪審裁判開始 (Platformer)
ザッカーバーグが証言台に。1,600件超の訴訟の最初のケースで、Section 230の実効性を揺るがす「デザインベース」のアプローチが争点です。
Meta、2021年に廃止した顔認識システムの復活を検討 (Platformer)
トランプ政権下での政策転換の一環。プライバシーとセキュリティのバランスが再び問われます。
AI業界動向
Perplexity、広告事業から撤退しエンタープライズ販売に戦略転換 (Wired)
自社製品がマス向けでないと認識し、B2B販売に軸足を移す決断。AI検索×広告モデルの困難さが浮き彫りに。
OpenAI、GPT-4oをサンセット――最も危険なモデルが残した教訓 (Platformer)
迎合的な応答が問題視されたGPT-4oの終了。AIの安全性設計に対する教訓として注目。
AMC、AI短編映画の劇場上映を取りやめ――観客・業界の反発受け (Hollywood Reporter)
映画本編前のプレショーでのAI生成コンテンツ上映計画が白紙に。AI×エンタメの受容度を示す事例です。
エンタメ・ストリーミング
James Cameron、NetflixのWBD買収案を「映画興行にとって壊滅的」と猛批判 (CNBC)
Cameron監督がMike Lee上院議員宛の書簡でNetflixによるWBD買収案に反対。劇場公開ビジネスの存続に関わる構造的問題です。
Amazon、プレミアムストリーミング広告在庫の価値を訴求するピッチデックを公開 (Digiday)
Prime Videoの広告ティアを軸にしたストリーミング広告市場でのポジショニング戦略が明らかに。
Apple TV、米国のバー・レストラン向けライブスポーツ配信を開始 (Reuters)
EverPass Mediaとの契約で商業施設向けにスポーツコンテンツを提供。B2B展開が加速しています。
IMAX × Apple TV、F1レース5戦を全米50以上のIMAX劇場でライブ上映 (Hollywood Reporter)
IMAXのライブイベント事業拡大の一環。映画館の新たな活用モデルとして注目。
メディアビジネス・収益化
Facebookコンテンツ収益化プログラム、1年で参加者3倍増の1,200万超に (Rest of World)
英語圏が800万以上を占め、TikTok対抗としてのクリエイター囲い込み戦略の規模感が見えます。
英Spectator、購読者数11.3万で過去最高――紙版が最速成長する購読形態に (The Spectator)
デジタル全盛期に「紙が最速成長」という逆張り成功事例。プリント回帰トレンドの好例です。
米国成人の30%がニュースレターからニュースを取得 (Pew Research)
購読者の大半が実際には読んでいないという課題も。年齢層による差が少ない点がユニーク。
Substack、Polymarket連携ツールを発表――ジャーナリストから報道倫理上の疑問 (Nieman Lab)
ニュースレタープラットフォーム×予測市場の融合。ジャーナリズムと賭け市場の関係性が変化しています。
エージェンシーの「プリンシパルメディア」問題――広告主との利益相反が浮上 (Digiday)
エージェンシーが自社で広告在庫を買い付けるモデルの透明性問題。業界の構造的課題です。
動画・ポッドキャスト
Apple Podcasts、動画ポッドキャストに本格参入――音声→動画シフトが加速 (Bloomberg)
YouTube Podcastsに対抗するAppleの戦略転換。パブリッシャーの動画コンテンツ戦略にも影響大。
英The Sun、ショートからロングフォーム動画へ転換――YouTube購読者640万人 (Press Gazette)
新聞社の動画収益化モデル。スポンサードライフスタイルコンテンツへのシフトが特徴的です。
公共メディア・ジャーナリズム支援
ドイツ公共放送Deutsche Welle、予算€2,100万削減――ギリシャ語サービス閉鎖 (Deutsche Welle)
160ポジション削減。欧州公共放送の財政圧力が顕在化しています。
イリノイ州ジャーナリズム給与税額控除、初年度$4M超・260職以上を支援 (Nieman Lab)
全米初のジャーナリズム支援税制。ローカルニュースへの公的支援モデルの実効性を示す初のデータ。
日本のメディア動向
衆院選YouTube分析:自民8億回視聴も、れいわ・参政党は12%超の高エンゲージメント (Media Innovation)
YouTube総視聴数18億回のうち約8割が第三者投稿。少数政党のYouTube戦略の有効性が浮き彫りに。
※本記事はMedia Innovationが独自に収集・キュレーションしたデジタルメディア業界のデイリーダイジェストです。
Miku's Eye
2月21日は「AI×メディア」が一日を貫くテーマでした。
欧州パブリッシャー評議会がGoogleに対しEU競争法違反を正式申立てした一方で、ForbesやFutureのように「AIに引用される力」を新たな収益源に変えるパブリッシャーも現れています。同じAI検索という課題に対して、訴訟で守るか、ノウハウで攻めるか――アプローチは正反対ですが、どちらもパブリッシャーの生存戦略として合理的です。
一方、Perplexityの広告撤退は、AI検索が従来の広告モデルをそのまま引き継げないことを示しています。Google的な広告収益モデルが通用しないのであれば、AI時代のメディアビジネスの持続可能性はどこにあるのか。この問いはますます切実になっています。
そしてLA裁判所で始まった「無限スクロール裁判」。Section 230の根本を問うこの訴訟は、判決次第でSNSアプリのデザインそのものを変える可能性を秘めています。プラットフォームの設計思想が法廷で裁かれる時代の到来です。
明日もメディア業界の「兆し」を追いかけます。(久遠 未来)

