就職や金融関係のバーティカルメディアを運営するポートが12月21日に東証マザーズと福岡証券取引所に新規上場しました。公募価格1480円に対して、初日は売り気配1110円で値段が付かないという珍しい自体となりました。仮に1110円で寄った場合の時価総額は127億円という計算です。

成長可能性に関する説明資料 でビジネスモデルの詳細が明らかにされていますので、チェックしてみます。

ポートは現代表の春日博文氏が大学卒業と同時の2011年に創業した会社です。当初はソーシャルメディアを活用した人材採用支援を目指しており、当初は社名もソーシャルリクルーティングでした。2014年に「キャリアパーク!」を開設、以後順調に成長しており、現在の従業員は149名です。

現在運営中のメディアは就職に関する情報サイト「キャリアパーク!」、お金やマネーライフに関する情報サイト「マネット」、医療情報を分かりやすく伝える「オンラインクリニック」などです。同社は、市場規模が大きく送客の成果報酬が期待できる領域で、専門家の監修するコンテンツを制作し、検索エンジン等から集客、広告収益を上げるというのが基本的なビジネスモデルです。

アクセス数が多く、収益性の高い領域を狙った「PORT型」

同社が取り組むメディアは、ニュースサイトのようなPVは多いものの収益性が低いモデルや、コンバージョンを重視し規模が小さいモデルとは異なり、アクセスが多く、かつ単価の高い領域に絞った「PORT型」であり「情報の発見から、行動までを支援する新たなメディアモデル」と称しています。コンテンツを内製し、専門家の監修による専門性を持ち、ライフサイクルで陳腐化しづらいコンテンツが特徴であるとのこと。

陳腐化し辛いコンテンツであることから、初期のコンテンツ投資は長いライフサイクルの中で回収していくことができるモデルです。

メディアの運営においては、コンテンツ制作、編集、SEO、広告のマッチング、システム開発などの「ビジネスオペレーション」と、専門家や顧問の起用による「専門性」を分離することで、メディアの立ち上げを仕組み化し、横展開を容易にした体制となっているそうです。

事業成長はジャンル拡充と、自社プロダクト開発で

今後の成長戦略として掲げているのは、キャリア、ファイナンス、メディカルなどの対象領域を広げていく(水平展開)と、各領域をウェブだけでなくリアルにも深掘りしていく(垂直展開)の2つです。

領域では各対象領域の中でも、キャリアであれば、祖業の新卒採用の領域から、現在は第二新卒の領域まで広げており、将来的には中途やパート・アルバイト、専門職などキャリアの領域内で専門性をより高めていく方向が考えられるようです。ファイナンスであれば現在はカードローンやFXですが、保険やクレジットカード、不動産なども考えられます。

キャリア、ファイナンス、メディカルの3本柱以外の領域でも、展開可能性として「結婚」「その他冠婚葬祭」「出産育児」「介護」「不動産」「専門家相談」などが挙げられています。これらは前述のように、一定規模のアクセス数が見込めると共に、送客時の単価が高い領域が検討されていくものと思われます。

垂直展開では、メディア運営で蓄積されていくデータを活用し、送客だけでなく、直接企業や地方自治体に対してキャリアアドバイスサービス(有料職業紹介)として「キャリアパーク!エージェント」というサービスを展開しているとのこと。メディカル領域では遠隔診療のプラットフォームを提供する計画だとのこと。

一方リスクとしては、検索エンジン(特にグーグル)の動向が考えられます。所有な3メディアはいずれも検索エンジンからのユーザー獲得が9割を超えており(SimilarWebのデータ)、大規模なアップデート等で影響を受ける可能性があります。

上場までに13.5億円を調達し、順調に成長を続ける

ポートは上場までに13.5億円を調達し、上場では新たに最大で17.66億円を調達。用途としては人件費・採用教育費に今後3期に渡って12.26億を充てる方針を明らかにしています。

直近の平成31年3月期第2四半期の業績は売上高13億4800万円、営業利益2億3000万円、経常利益2億3100万円、純利益1億9300万円でした。通期の業績予想は売上高28億2500万円、営業利益5億6000万円、経常利益5億5100万円、純利益4億6800万円としています。