女性はコミュニケーション、男性は動画のためにスマホを利用

本記事は株式会社電通が提供している、広告業界の最新動向やトピックス、コミュニケーション領域に関連する電通グループの先進の知見やサービス、ソリューションなどを紹介するニュースサイト「ウェブ電通報」からの転載記事です。 電通メディアイノベーションラボ編『…

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本記事は株式会社電通が提供している、広告業界の最新動向やトピックス、コミュニケーション領域に関連する電通グループの先進の知見やサービス、ソリューションなどを紹介するニュースサイト「ウェブ電通報」からの転載記事です。

電通メディアイノベーションラボ編『情報メディア白書2020』(ダイヤモンド社刊)の巻頭特集内容をピックアップして紹介する本連載。これまで、世代によってはSNSがマスメディアに匹敵するパワーを持つこと(第1回)、インターネットが主に自宅の中でスマートフォン(スマホ)で利用されている様子(第2回)を関連データと共に見てきました。

今回はインターネット利用において重要な役割を担っているスマホでアプリがどのように利用されているのかを詳細に見ていきます。

スマホはごくわずかなすきま時間に利用されることが多く、その実態を知る機会は多くありません。電通メディアイノベーションラボで分析(※)した結果、一日を通したアプリ利用には、年齢だけでなく、男女による大きな傾向の違いがあることが分かりました。

※インテージ社のi-SSPモバイルパネルのスマホアプリ利用ログ(2019年1月)をiOSとAndroidのアプリ・カテゴリーを共通化した上で分析

10~20代男性は「動画共有」アプリと親和性が高い

図表1は、男性10代(15~19歳)の朝5時に始まる一日を通したアプリの分単位の起動率の推移を表したものです。最も多く起動されているのは灰色で示す「ブラウザ/ポータル」です。全ての年齢層においてよく利用されており、ウェブ閲覧の他、検索行動が多く行われていると推測されます。

男性10代で最も特徴的なのは、YouTubeに代表される赤いラインの「動画共有」の利用率の高さです。「ブラウザ/ポータル」を除くと、「動画共有」の利用はほぼ一日を通して最も高く、22時台以降の深夜帯にかけて大きなピークを迎えます。

男性20代の場合、日中はTwitter、Instagram、Facebookなどの「ソーシャルネットワーク」の利用率が「動画共有」を上回りますが、21時以降はその関係が逆転し、深夜24時にかけて急速に「動画共有」の利用がピークを迎えます。このように、10~20代男性において動画共有アプリが非常によく利用されていることは注目に値します。

10~20代女性は「ソーシャルネットワーク」の利用が突出

女性10代(15~19歳)はどうでしょうか。「ブラウザ/ポータル」を除くと、青いラインで表される「ソーシャルネットワーク」が他のアプリ・カテゴリーを寄せつけることなく、終日極めて活発に利用されています(図表2)。

LINEに代表される緑色の「インスタントメッセンジャー」が「ソーシャルネットワーク」に続きます。「動画共有」は深夜帯にかけて利用が伸びるものの、日付が変わる時間帯以降を除いては、「インスタントメッセンジャー」の利用水準を上回ることはほぼありません。

女性20代においても「ソーシャルネットワーク」「インスタントメッセンジャー」「動画共有」の順番でアプリが利用される傾向は変わりません。同じ若年層であっても、女性は一日を通してコミュニケーション目的のアプリを活発に利用しており、「動画共有」利用の比重が高い男性と異なる傾向を示しているのです。

60代男性の利用アプリは限定的

デジタルネイティブとも呼ばれる10~20代の若者は、スマホとともに成長したと考えられる世代です。それでは、パソコン、ガラケー(従来型携帯電話)を経てスマホを利用するようになった中高年層は、どのようにスマホを利用しているのでしょうか。ここでは、60代の様子を見てみます。

図表3は男性60代のアプリ利用状況です。一日を通して高い利用率を示すのは「ブラウザ/ポータル」だけで、それ以外のアプリを活発に利用している様子は見られません。

目を引くのは濃い緑の「ニュース」アプリです。これは定時のプッシュ通知を契機にニュースアプリを朝、昼など特定の時間に起動していると考えられます。また、水色で示す「メール」が「インスタントメッセンジャー」と並んで利用されています。メール文化を色濃く残しているのもこの世代の特徴かもしれません。

60代女性は「ゲーム」の隠れたヘビーユーザー?

一方、60代の女性はより積極的にスマホアプリを利用している様子です(図表4)。「ブラウザ/ポータル」以外で見ると、「インスタントメッセンジャー」をよく利用しています。「メール」も利用していることから、スマホでコミュニケーション行動をとっている様子がうかがえます。しかし、最もよく利用されているのは、ピンク色で示す「ゲーム」です。

「ゲーム」はどの年齢層でも人気のカテゴリーですが、他アプリと比べて突出した利用パターンを示すのは、40代以降の女性です。40代、50代の男性も「ゲーム」をよく利用していますが、その利用は朝、昼、夜の特定の時間帯に集中する傾向があります。しかし、中高年層の女性の利用率は一日を通して高く、かつ深夜に向かってなだらかに増える傾向です。

在宅時のすきま時間や就寝前のくつろぐ時間帯にカジュアルなゲームに触れている可能性が高いこの年齢層の女性は、ゲームアプリの隠れたヘビーユーザーなのかもしれません。

各種データを通して、人々のメディアとの向き合い方が非常に多彩である様子が見えてきました。テクノロジーの進化を背景にさまざまなメディアサービスが登場していますが、人々は自身の経験や価値観、生活リズムなどに合わせてこれらのサービスと柔軟に向き合い、感性や生活にフィットするサービスを受容しています。

時代は平成から令和に移りましたが、豊かなメディア社会の形成のためには、こうした生活者の多様なニーズやメディア観に寄り添ったサービスの展開がこれまで以上に重要となるでしょう。

《電通報》

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