メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長

Media Innovationの6月特集は「地域メディアの現状とこれから」。新型コロナウイルスのパンデミックもあり、地域での情報流通のあり方が見直されています。一方で経済的に厳しい地域では、メディアの存続が危ぶまれ、「ニュース砂漠」という言葉もあるくらいです。そん…

特集 その他
メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長
  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長
  • 画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-18-2-1024x604.jpg
  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長
  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長
  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長
  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長
  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長
  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・myふなばしの山﨑健太朗社長

Media Innovationの6月特集は「地域メディアの現状とこれから」。新型コロナウイルスのパンデミックもあり、地域での情報流通のあり方が見直されています。一方で経済的に厳しい地域では、メディアの存続が危ぶまれ、「ニュース砂漠」という言葉もあるくらいです。そんな地域メディアで先進的な事例をしている皆様にお話を聞きました。

千葉県船橋市を拠点に月刊フリーペーパーの「MyFuna」「MyFunaネット」「船橋経済新聞」などの地域メディアを次々と立ち上げて来たのが、株式会社フィットや株式会社myふなばしの社長を務める山﨑健太朗氏です。

地域メディアを立ちあげながら、行政や地域企業を巻き込み、プラットフォームを作ってきました。2021年からは船橋以外の地域での展開も本格化します。メディアを核に“地域を編集”してきた戦略のこれまでとこれからについて聞きました。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: image-18-2-1024x604.jpg

複数の地域メディアを船橋市で展開中

───ほんとうにたくさんの地域メディアを手がけていますね。

今、手掛けているのは、千葉県船橋市で、タウン誌「ふなばし再発見!!マガジンMyFuna」(以下MyFuna)、ネットメディアの「MyFunaねっと」、「みんなの経済新聞」のネットワークに加盟して運営している「船橋経済新聞」、そして地域のお母さん向けメディア「Mamachi」です。このほか、リアルのスペースとして船橋市場(船橋市地方卸売市場)の中に「市場カフェ」を、YouTubeでは「やまけんちゃんねる」など動画コンテンツも配信中です。今年から福利厚生事業とメディアを組み合わせたプラットフォーム「LocalBenefit」の取り組みもはじめました。

───いつ頃からメディアの仕事に取り組んでいるのですか?

最初はタウン誌の「MyFuna」です。もともとは地元の編集者の方が一人で発行されていた媒体でしたが、休刊していたと聞き、ブランドを引き継ぎました。

メディア事業進出のために、2008年末に設立したのが「株式会社myふなばし」です。地域の企業などからの支援もうけつつ2008年12月に雑誌を復刊。同時に地域情報サイトの「MyFunaネット」も開設しました。当時はまだ地域情報サイトというのがほとんどなかった時代でした。当初からメディアミックスを考えて、開設することになりました。

───地域メディア立ち上げの前、すでに起業されていたんですね

二十歳ぐらいの頃から30歳ぐらいまでに独立しようとは考えていたんです。独立するためには経営と営業を学ぶ、商材を見つける必要があると思っていました。

そこで、自動車学校のコンサル会社だったマジオネット、フリーペーパーの求人誌を発行するアルバイトタイムスの2社で経験を積ませてもらい、29歳の時に船橋で「株式会社フィット」を作って独立したわけです。当初は求人広告中心のビジネスでしたが、MyFunaa立ち上げを機に、メディアを核にした事業をつくり始めました。

メディア企業を作ったのは「船橋をPRする会社がないな」と考えていたからです。紙媒体とWeb、イベントなども展開して地元のテレビなども巻き込んでリアルにまちづくりにかかわる人も参加して、メディアミックスできたらもっと町が活性化するのではないかと思いました。

MyFunaでは、媒体の信用を活かして、地域のサポーターという会員制度をつくって地域の企業オーナーさんたちに協力してもらえる素地をつくり、みんなの経済新聞のネットワークに加盟して「船橋経済新聞」を作ったり、ふなばしハワイアンフェスティバル、ふなばしコーヒーフェスティバルなど各種地域イベントの立ち上げにもかかわりながら現在に至っています。

行政や企業と市民、地域メディアの関係はデジタル化で大きく変わった

───船橋経済新聞の創刊は?

2011年10月のことです。MyFunaネットではリーチしにくい、東京に通勤しているサラリーマンに情報を届けられないか、また、テレビ局など全国メディアに船橋の地域の情報を採り上げてもらうきっかけが作れないかと考えてのことです。

MyFunaは地元の生活者向け、MyFunaネットは若い人向けということで運営していましたが、新たなレイヤーを開拓したかったというのが理由ですね。

───みんなの経済新聞ネットワークに加盟するとヤフトピに掲載される可能性もでてくるわけですしね。

ヤフーニュースとみんなの経済新聞の関係は知らなかったのですが、いろいろな波及効果がありました。「みん経」のネットワークに入ることで、全国に仲間もできました。加盟してすごくよかったと思っています。

───リアルスペースの運営もされているということです。

2017年には「市場カフェ」というリアルのコミュニティスペースも始めました。タウン誌という情報としての編集だけでなく“人の編集”拠点ができないかということで始めました。

地域の人たちが集まる拠点とし、サブスクの「おじさんコーヒー会員」制度を作って、会員同士での交流会や、地域の人が講師になってのセミナーなどをやっています。今日も午前中、YouTuberの人に来てもらって「YouTube講座」を開いてたんですよ。カフェを開きたいなと思っている人を集めた講座もやっています。

船橋にはおもしろいことをやっている人たくさんいるんですが、相互につながる機会がなかなかなかった。「地域でライターやっている人と営業が得意な保険の営業マンがつながったらおもしろいのではないか」みたいな発想で、いろいろな仕掛けをつくっています。

事業が生まれそうだったらメディアを持っている我々は手伝えることがたくさんある。場合によってはプラットフォームの一部を担うこともできるでしょう。地域の新しい事業構想を実現する場になればと思っています。

市場カフェは、キッチンカーを使った移動式の「2号店」、テントとテーブルで展開する屋台型コーヒー販売の「3号店」、オンラインミーティングアプリを活用してリアルの市場カフェ(1号店)と多の地域の人をつなぐオンライン市場カフェの「4号店」と広がりをみせています。

福利厚生×地域メディアの「LocalBenefit」を立ち上げ

───地域企業の福利厚生サービスをドッキングさせた事業を今年立ちあげたそうですね。メディアビジネスとどうかかわるのでしょうか。

地域経済の課題のひとつとして、消費が都心部の企業に吸い上げられて地域に循環していかないという問題があります。その問題をなんとか解決できないかということで考えたのがLocalBenefitです。

LocalBenefitの会員になってもらった企業の社員は、「加盟店」として登録した地元企業が運営するレストランの食事が割引料金で食べられたり、コワーキングスペースが使えたり、フリーランスの専門家から講習を受けられたりします。企業には「福利厚生費」をここにあててもらい、地元で福利厚生サービスを広く使えるような仕組みです。

企業の福利厚生費は、東京の企業が運営するプラットフォーム的なサービスに使われることが多かったかと思いますが、そのお金が地域の個人企業や商店企業に向くことになります。

地域メディアを支えるサポート企業にとっても、地域で暮らす人たちにとってもハッピーな仕組みが実現するのではないでしょうか。

船橋ではすでに、メディア事業で構築した300社・従業員1万5000人からなるMyFunaサポーター会員がいます。これが中核となってプラットフォームが形成されます。ブロックチェーンを使った地域通貨の仕組みも連動させます。

登録は無料ですが、福利厚生サービスとして提供していいものかという視点で、厳しく手間をかけて審査し、登録企業に関しては記事も書きます。

メディアが介在することで、地域の企業や専門家、フリーランスで活動している人たちは営業をする必要が少なくなるはず。地域の魅力的なお店や企業、サービスを紹介してきた地域メディアが、地域のエコシステムにより近づく形になります。

まずは千葉県内で代理店制度を立ちあげて県全域に拡げ、その後東北など各地域にネットワークを広げて行くことを考えています。

LocalBenefitは、メディアが起点となって構築された地域のネットワークに企業の福利厚生費が循環する仕組み。地域通貨は長く持っていると「減価」するため消費のインセンティブがはたらきます。そしてMyFunaやMyFunaねっとは、福利厚生サービスの会員誌や会員向けネットワービスのような機能も果たし始めることになります。

───紙とネットとリアルスペース、イベント、福利厚生サービスとの連動など、地域企業や行政を巻き込む形で多角的に展開する地域メディアのあり方、すごく参考になります。

ローカルニュースの編集者がいることは、地域にとってひとつの価値になるんだと思っています。地域メディアが機能することで、地域の情報を発信・蓄積していけますし、地域の資産・人材などの情報を集まって、その地域資源を組み合わせて(編集)して新しい価値を生み出す仕組みができたりします、また、包括的に地域を把握し、行政にない民間ならではの解決策を導き出す仕組みづくりにもつながります。地域が編集され、活性化するわけですね。

編集者はいろいろな情報を掛け合わせて新しい価値を創造していく仕事なんだと思っています。LocalBenefitでメディアと地域経済がきっちりと連動するプラットフォームの仕組みを確立。各地域のエコシステムいいものにしていきたいですね。起業してから、ずっと「地域の編集」をやってきたつもりですが、これからも編集を通じて地域に新しい価値を創造していければと思っています。

2021年6月特集 地域メディアの現状とこれから

  • メディアを核に“地域を編集“、多彩なプラットフォームで次々と展開・・・MyFunaねっと山﨑健太朗社長
  • 株式会社ロコガイド 取締役 片桐優氏、株式会社しずおかオンライン 代表取締役 坂本真吾氏 インタビュー
  • 株式会社神戸新聞社 取締役 デジタル事業担当デジタル創造本部長DX統括本部副本部長 大町聡氏 インタビュー
  • INCLUSIVE株式会社 代表取締役藤田誠氏 インタビュー

予定は変更になる場合があります。

Media Innovationでは6月30日(水)に「Media Innovation Meetup #28 地域メディアの現状とこれから」を開催します。

世界的に地域の情報流通を担うローカルメディアの大きな役割が指摘される事が増えてきました。一方で、「メディア砂漠」という言葉があるように、そのビジネスは簡単ではなく、地域にメディアが存在しないという場所が確実に増えていっています。

今回のイベントでは日本各地で地域の情報流通を担い、先進的な取り組みで未来を切り開こうとしているゲストをお招きして、地域メディアの今と、未来像を明らかにしていきます。

登壇者・INCLUSIVE株式会社 代表取締役藤田誠氏・株式会社神戸新聞社 取締役デジタル事業担当デジタル創造本部長DX統括本部副本部長 大町聡氏・北海道テレビ株式会社 プロデューサー 阿久津友紀氏・MyFuna.net / 船橋経済新聞 山﨑健太朗氏

開催概要・名称 Media Innovation Meetup #28 地域メディアの現状とこれから
・日時 2021年6月30日(水) 17:00~18:30
・場所 Zoomによるオンライン開催
・会費 Media Innovation Guild ライト会員、プレミアム会員の方は無料(その他の方は1000円)

タイムスケジュール
・17:00 主催者挨拶
・17:05 登壇者からプレゼンテーション(15~20分)×4
・18:00 パネルディスカッション
・18:30 終了

※参加登録にはMedia Innovationの会員登録が必須です。ログイン後に下記ボタンから参加登録をお願いします。お申し込みはこちらから

《堀 鉄彦》

関連タグ

堀 鉄彦

堀 鉄彦

1986年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。 日経イベント、日経パソコン、日経ネットナビなどの雑誌編集を経験後、独立し、2018年4月に(株)ブロックチェーンハブに参画。グループ内に(株)コンテンツジャパンを立ち上げる。ブロックチェーン×コンテンツのプロジェクトに取り組む。2019年10月にビヨンドブロックチェーン(株)の取締役に就任。電子出版制作・流通協議会や電子書籍を考える出版社の会など複数のメディア系業界団体でデジタル系サービスの動向レクチャーを定期的に行っています

特集