米イリノイ州で、高校でメディア・リテラシーを教えることを義務付ける法律が制定されました。大統領選挙やパンデミックを経験し、誤情報対策に関心が高まるなか、メディア・リテラシーを教える学校はイリノイ州を含む多くの州にあるものの、義務化されたのは今回の例が初めてだということです。
イリノイ州の高校では2022-2023年度から、デジタル、インタラクティブ、オーディオ、ビジュアル、プリントなど、さまざまなメディアからの情報を分析し、伝達する方法が指導されることになります。
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この法律で定められるリテラシー教育では、メディアが情報消費にどのような影響を与えるか、また人間の感情や行動にどのような影響を与えるかを考えること、生徒がお互いに思いやりと敬意を持って包括的な対話をすることを求めています。
イリノイ州では民主党が過半数を占めており、今回の法律の制定においては共和党員が誰も賛成しないまま下院を通過。上院で賛成した共和党員は3名のみでした。反対票を投じた共和党のAdam Niemerg議員は、この法案は「反トランプ、反保守」であり、左派が「若いうちに学校のシステムに入り込んで、主流メディアの手段を教えようとしている」と批判しました。
一方、この法案の主席提案者であるKarina Villa上院議員は「学生たちはこれまで以上にインターネットを利用するようになったとはいえ、誤った情報には依然として脆弱である」と指摘し、メディアリテラシーを党派的な問題にするのではなく、自分の子供に何を学ばせたいかを考えるよう他の議員に要求する、と述べています。
米国の非営利公共ラジオ NPRでは、若者のメディア・リテラシーについて、「ソーシャルメディアのインフルエンサーにたくさんのフォロワーがいれば、それは信頼できる人だと思い込んでいる人もいる」と指摘。
今回の法制定については、教師もメディアに精通している必要があり、「生徒が安心して政治問題について話せるような教室環境を作り、根拠のない陰謀論にはいつ、どのように反論すればよいかを知っておく必要がある」として