本記事はThe Conversationに掲載された、オーストラリアのGriffith Universityでインダストリーフェローを務めるRowan Callick氏による記事「How China used the media to spread its COVID narrative — and win friends around theworld」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。
COVID-19が大流行していた頃、セルビアの首都ベオグラードの中心部の一等地に、「Thank you brother Xi(ありがとう、習)」の文字とともに中国の習近平国家主席の顔が載った看板が設置されていました。
この看板は、中国がセルビアにCOVID-19の医薬品を送ったことを受けて、親政府系タブロイド紙「Informer」が作成したものです。この看板は、パンデミックの際に世界各国で見られた、あからさまなプロパガンダや微妙なメディアメッセージの形で感謝の意を表した親中派の行動の1つです。
国際ジャーナリスト連盟(IFJ)が本日発表した新しい報告書は、私がメルボルン大学のルイーザ・リム氏、モナッシュ大学のヨハン・リドバーグ氏と共同で執筆したもので、パンデミックが中国の武漢市で発生したにもかかわらず、北京の世界的なイメージが良くなっていることを明らかにしたものです。
2020年末に調査を行った50カ国のうち、半数以上の国が、パンデミックの発生以降、自国での、中国に関する報道がポジティブになったと報告したのに対し、ネガティブになったと報告した国は4分の1以下でした。
中国のイメージが最も好転したのはヨーロッパで、10段階評価で6.3を獲得しました(1が最もネガティブ、10が最もポジティブ)。一方、北米では中国のイメージが急落し、3.5点となりました。
全体的にポジティブな評価が増えたのは、中国からの働きかけが活発化したことによります。2019年にIFJのために行った前回の調査では64%だったのに対し、今回の調査ではジャーナリストの4分の3が、自国のメディアで中国が目に見える形で存在感を増していると答えました。
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