グーグルがブラウザ「Chrome」におけるサードパーティクッキーの利用廃止を2023年後半まで延期すると発表しました。クッキーはウェブ広告の礎になってきた技術で、これが利用できなくなることで広告の収益性が大きく毀損されると考えられています。パブリッシャーは2023年に向けて何をしていけば良いのか、有識者に聞きます。
株式会社FLUXは2018年創業ながら、3年間で100名規模にまで成長したメディア支援ベンチャーです。同社は”メディア業界のSalesforce”を標榜し、メディア運営に必要な様々なソリューションを提供、パブリッシャーのビジネスを全面的に支援する体制を整えようとしています。
当初は広告技術のヘッダービディングを導入するためのソリューションから始まった同社ですが、昨今話題のサードパーティクッキーの廃止後に向けたソリューションも準備を進めているそうです。同社のプロダクトを統括する取締役CPO(Chief Product Officer)の平田慎乃輔氏にお話を聞きました。
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株式会社FLUX 取締役CPO(Chief Product Officer)
カカクコムにて食べログ・価格.com・Web CGなど合計月間30億PVを超えるメディア群のマネタイズを担当。その他にも社外の複数のメディアのマネタイズにアドバイザーとして関与。アドテク関連のイベントにて登壇多数。
―――FLUXについて簡単に教えてください
平田: 2018年創業のベンチャーで、ミッションは「テクノロジーをカンタンに」と掲げて、テクノロジーを通じてパブリッシャーのビジネス、特に広告領域を中心に支援しています。当初は広告のヘッダービディングを簡単に導入するためのソリューションからスタートし、これまでに500社以上の媒体社と取り組みを進めてきました。
パブリッシャーにとって広告は最も重要な収益源ですが、その運用や最新テクノロジーの導入は非常に動きが早い領域ということもあって、負担が増しています。私自身もカカクコムというパブリッシャーで経験を積んできたのですが、そうしたパブリッシャーへの在籍経験のあるメンバーが中心に集まって、外からパブリッシャーを支援するという立場で事業を進めているのがFLUXです。
―――わずか3年で幅広いプロダクトを提供するようになりましたね
パブリッシャーの様々な課題に対応する複数のプロダクトをオールインワンで提供する事を目指しています。「AutoStream」というブランドで展開をしていて、1つのJavaScriptのタグを導入いただいて、管理画面からアクティベートしていただくだけで、様々な新しい施策を実行できるようになります。
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具体的には、ユーザー環境や通信環境でのエラーを検知して広告を再読み込みする「Bcovery」、リッチフォーマットのPMPを配信する「Rich Format / Skin PMP」、ユーザーのエンゲージメントが高い状態でオークションにかける「BidSurge」そして、今回の話題であるサードパーティクッキー代替のIDソリューションを一括管理する「DataHarbor」などです。今後もダッシュボード機能や記事を動画化するソリューションなど様々なソリューションを開発中です。