フランスで公共放送局のTVライセンス料廃止が承認、BBCとNHKにも影響?

バラエティ誌によると、フランスの国民議会は7月25日、フランスの公共放送局の年間予算の85%近くを賄っているテレビライセンス料を廃止する政府法案を承認したと報じました。対象となる放送局は、フランステレビジョン、フランス24、アルテ、ラジオ・フランスなどです…

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フランスで公共放送局のTVライセンス料廃止が承認、BBCとNHKにも影響?

バラエティ誌によると、フランスの国民議会は7月25日、フランスの公共放送局の年間予算の85%近くを賄っているテレビライセンス料を廃止する政府法案を承認したと報じました。対象となる放送局は、フランステレビジョン、フランス24、アルテ、ラジオ・フランスなどです。

もともと、この法案は、マクロン大統領が再選した先の選挙期間中に、”フランスの家庭の購買力を高める “ための施策の一つとして提唱したもので、国会では170票対57票で可決され、公共放送の財源は、付加価値税の一部として、37億ユーロ(約3,800億円)が計上される内容となっています。つまり、これまで必要とされていた年間32億から35億ユーロの予算はそのまま賄えるため、表向きはほぼ変わらないものの、その財源が問題とされています。

フランスでは、放送局が家計に課税される税金ではなく、付加価値税の税収に依存するようになった場合、経済危機や極右の大統領が選出されたりすると、その都度予算の決定や使用用途に圧力がかかることが懸念される上、放送局が広告費に依存する事になり、政府の要人や著名人の圧力に弱くなる可能性を多くの業界関係者は心配しています。(法案が提出される前の6月28日に放送局のスタッフ数千人が、法案に抗議してストライキを行いました。

今回左翼の政治家は反対票を投じ、中道・右派は徐々に公共放送を解体しようとする事に賛同していると見られます。リマ・アブドゥル・マラク文化大臣は、「独立性を保証するのはライセンス料ではなく、放送局のトップを任命するArcom(元CSA)と呼ばれる組織」だと言い、ジャーナリストたちは「毎年、あるいは2年ごとにこの予算の再交渉の度に、将来の政府との交渉で言いなりになるのではないか」と言うことを心配していると言います。


《前田邦宏》

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前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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