アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(AWS)は、AIとクラウドを活用して社会課題の解決に取り組む中堅中小企業(MSME)に関する最新レポートを発表しました。
コンサルティング企業のアクセンチュアに委託したレポート「日本においてクラウド主導経済が現実に:中堅中小企業(MSME)を通じてクラウドが経済と社会に与えるインパクトとは」では、日本を含む世界12か国を調査対象としており、市場規模、定量的調査、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行、Conference Board Total Economy Databaseが提供する公開データセットを組み合わせて分析。クラウドが主導するテクノロジーを採用する日本のMSMEによって2030年には、医療、教育、農業の分野全体で年間総額1兆9,000億円相当の生産性向上効果と520万人の雇用(日本の全雇用の7%)が生み出されると予測しています。
レポートでは、経済協力開発機構(OECD)のクラウド導入レベルの定義を用いて、2030年のクラウド主導経済について予測しており、全企業の90%が、少なくとも基礎レベルのクラウドテクノロジーを導入するとしています。ウェブベースのメールサービスやクラウドベースのストレージソリューションの利用など、基礎レベルのクラウドテクノロジーを導入している日本の企業の割合は現時点で68%だが、OECD加盟の先進国の導入率から判断すると、CRMやERPなどの中レベルの用途と、不正検知やサプライチェーン予測などAIや機械学習の使用などの導入率ははるかに低く、現時点で日本の企業のわずか4%のみといいます。MSMEがクラウドに移行することで、経済と社会に目に見える効果がもたらされ、クラウドにより、オンライン医療相談の促進、教育へのアクセスの改善、精密農業の強化が可能になり、最終的に国連の持続可能な開発目標(UN SDGs)の達成に貢献するとしています。
医療分野で2030年には、日本においてクラウド主導のMSMEが医療分野で年間総額1兆2,000億円相当の生産性向上効果の創出を促し、6,000万件のオンライン医療相談をサポートすることになると推計しています。
教育分野で2030年には、MSMEが教育分野で年間総額5,000億円相当の生産性向上効果の創出を促し、日本の400万人の生徒にeラーニングソリューションを提供するようになると推計。日本では現在の利用者数の185%増の約2,000万人の成人がクラウド主導のMSMEを介してオンライン教育にアクセスするようになると予想されるとしています。
農業分野で2030年には、日本の MSMEは農業分野で年間総額1,000億円相当の生産性向上効果の創出を促し、現在の使用率の130%増の3軒に1軒の農業従事者で精密農業ソリューションが使用されるようになると推計しています。
あわせて、MSMEのクラウド導入の加速促進のために、このレポートでは「クラウドが戦略的なビジネスニーズをどう合理化できるかを特定」「業界と政府の支援について評価」「クラウドを活用した従業員のスキルアップと教育」「データおよびセキュリティポリシーの見直し」「企業全体のクラウド移行戦略を策定」の5つの推奨事項について概説しています。