KADOKAWAが2024年3月期第2四半期決算と新たな中期経営計画公表

株式会社KADOKAWAが2024年3月期第2四半期決算と新たな中期経営計画を公表しました。

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KADOKAWAが2024年3月期第2四半期決算と新たな中期経営計画公表

株式会社KADOKAWAが2024年3月期第2四半期決算と新たな中期経営計画を公表しました。

2024年3月期第2四半期(7-9月)決算は、前年同四半期比で売上高12.0%増、営業利益47.6%増でした。ゲームでは、新作「ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON」が好調で業績をけん引。過去作に引き続き、(株)フロム・ソフトウェアの高い開発力を示しました。映像では、アニメの貢献に加え、実写で評価減を計上した前期から大きく利益を改善しました。新規IP数は堅調に増加し、IPのメディアミックスが順調に進捗しました。

2024年3月期第2四半期累計期間(4-9月)業績は、前年同期比で売上高1.3%増、営業利益35.0%減でした。アニメやMD事業が高成長し、IPのメディアミックスが順調に進捗。出版での原価増による減益、ゲーム事業では業績を大きく伸ばした前期からの比較で減益でしたが、新規IP数は順調に増加しました。

出版セグメントの売上高は663億12百万円で前年同期比0.3%増、営業利益は32億55百万円で前年同期比43.2%減。電子書籍・電子雑誌では、メディアミックス作品を中心とした販売が好調に推移し増収しました。

書籍・雑誌では、米国における直近数年間の急激な需要増の反動による書店の発注抑制・返品増が継続しており、海外事業が減収に。国内では、「山田くんとLv999の恋をする(7)」「気になってる人が男じゃなかった VOL.1」「光が死んだ夏(3)」「パンどろぼうとほっかほっカー」などの新刊点数が増加したものの、市場全体の縮小影響が大きかったことなどにより減収。ライセンス収入は増収となりました。費用面では、中長期的な成長を見据えた人員増強や、デジタル製造工場・新物流設備への投資などが増加しました。さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上を目指し、文庫やライトノベル、新書、コミックなどのデジタル印刷による小ロット・適時製造を行う書籍製造工場と新物流設備の稼働を開始しており、今後両設備の稼働率を高めることで、事業効率のさらなる向上を目指すとしています。

映像セグメントの売上高は220億32百万円で前年同期比16.2%増、営業利益は25億4百万円で前年同期比4,046.8%増でした。アニメでは、「【推しの子】」「この素晴らしい世界に爆焔を!」など、人気タイトルの国内外配信向けやゲーム・グッズ向けを中心としたライセンス収入が好調に推移、成長しました。実写映像では、「わたしの幸せな結婚」の劇場収入など、同作の二次利用収入が売上に貢献し増収となりました。

ゲームセグメントの売上高は136億70百万円で前年同期比20.2%減、営業利益は40億28百万円で前年同期比46.9%減でした。8月に発売した(株)フロム・ソフトウェアの新作「ARMORED CORE Ⅵ FIRES OF RUBICON」の国内販売が好調に推移したことに加え、6月に発売した(株)スパイク・チュンソフトの新作「超探偵事件簿 レインコード」も売上に貢献したものの、前期の「ELDEN RING」の業績貢献が大きかった影響で、減収減益となりました。

Webサービスセグメントの売上高は110億円で前年同期比4.7%減、営業利益は6億48百万円で前年同期比31.1%減でした。動画コミュニティサービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が9月末には128万人となり、前年9月末から減少したことに加え、投資効果に鑑み一部広告関連サービスを縮小させたことで減収となりました。利益面では、この減収影響に加え、「アニメ」「ゲーム」などの注力ジャンルへのコンテンツ制作費や、ユーザー体験向上とコスト削減に向けたITインフラへの投資により、減益となりました。

教育・EdTechセグメントの売上高は67億2百万円で前年同期比7.0%増、営業利益は11億67百万円で前年同期比11.4%減でした。(株)バンタンが運営する「バンタンゲームアカデミー」など、グループシナジーが見込めるゲームクリエイターやITプログラマー養成コースの展開地域拡大を中心とした生徒数増加でにより増収となりました。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校などに教育コンテンツ・システムの提供を行う(株)ドワンゴは、同校の通学コース向け新キャンパス開設などによる生徒数増加を受け、引き続き好調に推移しました。

その他セグメントの売上高は93億93百万円で前年同期比24.2%増、営業損失は19億25百万円で前年同期 営業損失は17億88百万円でした。IP体験施設運営事業での増収に加え、一部事業撤退で営業利益も改善。MD事業では、フィギュアの売上拡大やオンラインくじでのグッズ販売が好調に推移しました。その他新規事業では一部サービスの拡大により増収となりました。

また同社は、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画の目標を初年度で達成したため、2028年3月期を最終年度とする新たな中期経営計画を策定しました。同社グループは、IP創出の拡大、事業間連携によるメディアミックスの強化、IPのLTV(Life Time Value)の最大化により、IPを世界に広く展開する「グローバル・メディアミックス with Technology」をさらに加速。2028年3月期での売上高3,400億円、うち海外売上高700億円、営業利益340億円の達成を目指します。

主な取り組みとして、出版は年間7,000点超へIPの創出を拡大し、アニメ制作力を強化、実写事業は大型作品に注力し、ゲーム開発ラインの拡張と自社パブリッシング範囲の拡大します。ファンコミュニティ事業拡大およびイベント・音楽領域での事業拡大し、教育・EdTech事業を拡大、施設運営事業の改善します。財務基本方針のアップデートとして、ROEのターゲットを「10%以上」から「12%以上」に引き上げ、健全性確保と資本効率追求を両立。また、コーポレートミッションに「世界の才能と、感動をつなぐ、クリエイティブプラットフォーマーへ」を策定。世界中の才能を発掘し、価値を高め、生み出されるIPをテクノロジーの力で世界中のユーザーに届けます。さらに同社グループに集まったノウハウと、クリエイティブ、テクノロジーを融合させ、イノベーティブな事業を継続的に生み出し発展させることを目指すとしています。

《Nakashima Takeharu》
Nakashima Takeharu

Nakashima Takeharu

「佐賀経済新聞」編集長。県内で開催のアジア最大級の熱気球大会では広報・メディア対応とネットコミュニケーションを担当。