「価格.com」や「食べログ」を運営するカカクコムが、スウェーデンの投資会社EQTによる株式公開買付を受け入れ、株式の非公開化に踏み切るということです。買付総額は約5,900億円規模で、東証プライム市場からの上場廃止が予定されているとのことです。
注目すべきは、LINEヤフーと米ベイン・キャピタルの連合による対抗提案が浮上した結果、当初の買付価格2,300円から最終的に3,000円まで約30%引き上げられたことです。
一方、13日のカカクコムの終値は3,400円を超えていてTOB価格を大きく上回っています。交渉の結果引き上げられたとはいえ、発表直前の株価と比べると提示されたプレミアムは数%であり、LINEヤフーの存在が報道されたこともあり、株主は3,000円という株価には満足していないようです。(直近株価では時価総額は約6,800億円)
価格引き上げを動かした対抗提案の存在
EQTは2026年5月12日、完全子会社「Kamgras 1」を通じて1株3,000円でTOBを実施すると発表しました。買付期間は5月13日から7月2日まで、買付予定数は1億2,190万株、下限は約3,494万株です。
報道前の4月22日終値2,121円に対するプレミアムは41.44%に達します。発表によれば特別委員会の積極関与と対抗提案の規律効果により、当初提案2,300円から7回の引き上げを経て3,000円に着地したそうです。
一方、LINEヤフーとベイン連合は、「Yahoo! JAPAN」と「価格.com」「食べログ」の相乗効果を見込んで対抗提案に踏み切ったようです。LINEヤフー広報はブルームバーグの取材に対し、「買収提案を出したのは事実」と回答していました。
二大株主の異なる出口設計
筆頭株主のデジタルガレージは20.50%を保有しているものの、TOBには応募せず、成立後のカカクコムによる自社株買いに応じる方針との事です。さらにその後、コンソーシアムに約20%を再出資し、間接的な株主として残留する設計が組み込まれているようです。
第2位株主のKDDIは17.55%を保有していますが、こちらは自社株買いを通じて全株を売却し、資本関係を解消する見通しです。税引後手取り額を株主間で公平に揃えるスキームが企図されていると見られます。
ただし、17.2%を握る香港のアクティビストファンド、オアシス・マネジメントの動向次第では、応募状況や追加的な価格引き上げの可能性が引き続き論点として残されているようです。
非公開化の動機は生成AI投資への対応
EQTは声明で、買収を通じてカカクコムが「AIが主導する環境に適応し、成長できるよう支援する」と述べていました。生成AIの台頭でSEO主導の収益モデルが機能不全に陥るリスクがあり、上場維持のままでは大胆な先行投資が難しい事情があるようです。
カカクコムの2026年3月期売上収益は前期比20.0%増の941億円、営業利益は272億円で営業利益率28.9%と非常に高利益率な体質を依然として維持しています。優良なキャッシュ創出力を持つ生活情報プラットフォームを巡る攻防は、最終局面に入りつつあると見られます。
なお、TOBに伴い、カカクコムは2027年3月期に予定していた年間配当54円の見送りを発表しています。また、LINEヤフー連合が法的拘束力のある提案を出す可能性もあります。冒頭にも記したように、市場価格はTOB価格を超えていて、このままだと成立は見通せません。
カカクコムは比較的検索への依存度があるとはいえ、カカクコムと食べログという高い利益率を誇るメディアをキャッシュエンジンとして持ち、直近では求人ボックスへの積極投資で急成長中という状況を見ると、ファンド入りはやや唐突感もありますが、人材事業に更に投資し、リクルート(本家Indeed)、マイナビを狙うということであれば、今が勝負どころなのかもしれません。

