生成AIの進化が、メディアやクリエイティブの現場を急速に塗り替えつつあります。米パロアルト発のAIスタートアップ Genspark(ジェンスパーク) もそうした進化を担うプレイヤーの一つです。同社は「オールインワンのAIワークスペース」を掲げ、スライド作成、ドキュメント、画像・動画・音声生成、コーディング、メール処理までを一つの環境で完結させます。複数のAIサービスを使い分ける必要をなくし、ユーザーは「やりたいこと(成果)」を伝えるだけで、複数のエージェントが計画から実行までを自律的にこなす——そんな世界を目指しています。
その勢いは数字にも表れています。サービス開始からわずか9か月で年間経常収益(ARR)1億ドルを突破し、3億ドルのシリーズBを調達しました。法人クライアントは5,000社を超え、その半数を日本企業が占めるといいます。コンサルティングや広告など、知的労働の現場を中心に急速に浸透しています。
本稿では、来日した同社共同創業者でCTOのカイ・ジュー氏と日本でエンタープライズ営業担当を務める中村圭佑氏へのインタビューをお届けします。メディア企業はAIをどこから使い始めるべきか、「書く仕事」への強いこだわりとどう向き合うか、そしてOpenAIやAnthropicがしのぎを削る激戦のなかでGensparkはどこで戦うのか。デスクトップ常駐型のAIエージェント「Genspark Claw」の構想から、同社が描く「誰もがCEOになれる世界」というビジョンまで、率直に語ってもらいました。
メディア企業はAIをどこから使い始めるべきか
──メディア企業がAIを導入する際、まずどんな業務から使い始めるべきだとお考えですか。
カイ: すでに多くの方が、さまざまな方向でAIを活用し始めています。
まず一例として、私たちは今年2月のスーパーボールで広告を出稿しました。そのアイデア出しから絵コンテ、トークラインに至るまで、すべてGensparkで生成しています。広告には相応の費用をかけましたが、構想やスクリーンショット、ディレクターズカット的なイメージはすべてGensparkから引き出したものです。
最近は画像モデル、動画モデルの進化が著しく、Gensparkを使ってメディアコンテンツを生成するユーザーが急増しています。動画広告を丸ごとAIだけで生成することも、低コストかつ高品質で可能になってきました。実際にグローバルのユーザーが、マーケティングやメディアの業務でこうした使い方をしています。さらに、大量に散在しがちなクリエイティブ資産(アセット)の管理にも活用できます。
具体例を挙げましょう。Gensparkを使っている広告代理店のお客様がいます。以前はラフスケッチと数枚のスライドで企画をクライアントに提示していましたが、それでは意図が十分に伝わらないことがありました。Genspark導入後は、かなり作り込んだ動画イメージのラフカットを提示できるようになり、コンペで勝率を大きく上げているという印象があります。
「書く仕事」への強いこだわりとどう向き合うか
──メディアには記事を書く仕事があり、AIに任せれば良いものが作れると分かっていても、そこは仕事の「魂」のような部分で、手放すことへの拒否反応が強い。こうした人たちには、どんなアプローチから始めるのがよいでしょうか。
カイ: とても良い質問です。お答えしたいことが二つあります。





