WWWの停滞・衰退に向き合う必要がある、ロケットニュース24 瓦野氏・・・メディア業界2021年の展望(20)

新型コロナウイルスによって平時と全く異なる一年となった2020年。みなさんにとってはいかがだったでしょうか? そして2021年に向けてどのような事を取り組んでいくのでしょうか? 今年もMedia Innovationで大変お世話になった皆様に今年の振り返りと来年への展望をお聞き…

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WWWの停滞・衰退に向き合う必要がある、ロケットニュース24 瓦野氏・・・メディア業界2021年の展望(20)
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新型コロナウイルスによって平時と全く異なる一年となった2020年。みなさんにとってはいかがだったでしょうか? そして2021年に向けてどのような事を取り組んでいくのでしょうか? 今年もMedia Innovationで大変お世話になった皆様に今年の振り返りと来年への展望をお聞きました。「メディア業界2021年の展望」全ての記事を読む。

インターネット発のニュースメディアとして確たるポジションを確立しているロケットニュース24。その生みの親であり、現在も運営元のソシオコーポレーションでメディア事業部のManagerとして活躍している瓦野氏に今年の振り返りと2021年への展望をお聞きしました。

瓦野晋治
かわらのLab合同会社 代表社員
2008年ロケットニュース24立ち上げからのメンバーとして、メディア事業戦略に従事。事業の成長と収益最大化のため、編集部支援や記事配信提携、広告商品設計・運用などにも取り組む。現在も、運営会社である株式会社ソシオコーポレーションのメディア事業部でManagerとして活動する。また、コンサルティングファームでのデータアナリストの経験も活かし、複数の国内大手媒体社の事業部門とテック部門間の橋渡しや、事業戦略のアドバイザーとしてサポートを行う。

2020年はメディア業界にとってどのような年だったでしょうか?

どの記事メディアも、収益、トラフィックの両面で、不安定な状態が継続した1年だったのではなないでしょうか。
トラフィックが急激に増えるものの、広告市場が低迷し、期待したほど収益が上がらず、コスト負担が重くなった報道媒体。特定分野に特化したバーティカルメディアも、ゲームや旅行など分野によって大きな違いがあったと聞いています。

不要不急な読み物メディアであるロケットニュース24は我慢の年でした。収益、トラフィックとも極端に悪影響があったわけではないものの、ネガティブな影響を受けました。直近では改善しつつあるものの、明日にでも、また何か大きく動いてもおかしくありません。

しかし、このような状況でも毎日のようにウェブサイトに来訪してくださる読者がいることのありがたさを、強く感じたことはないです。

記事メディア、ウェブメディアが取り巻く環境は、ますます厳しくなっています。どのようなビジネスを展開するにせよ、定着している読者の総熱量が高く、新規読者も定常的に入ってくるメディアであることが、事業継続の重要な鍵になると考えています。

これからのメディアに求められること、直面する課題はどういったことでしょうか?

ウェブメディアに関していえば、WorldWideWeb(ウェブ)というプラットフォームの停滞、衰退に向き合う必要があると考えています。

「インターネット=ブラウザによるネットサーフィン」という時代はすでに終わり、スマートフォンだけでなく、多様な端末で多様な使われ方をされています。スマートフォンで情報を探すときも、ウェブ検索がファーストチョイスではなくなっている人もケースも増え、ブラウザアプリを能動的に立ち上げる機会はそう多くないはずです。

そのような状況で課題の一つが、ウェブサイトのUXだと感じています。ページビューや収益性などの目標達成のため、どうしてもおざなりにされがちです。

ウェブが中心だった過去は、多少UXが悪いウェブサイトでも継続して利用してもらえました。しかし代替手段がたくさんある現状では、再訪してもらえず、さらにはウェブそのものから遠ざかるという要因になりかねません。ウェブは、スマホアプリとは異なり、開かれた民主的な仕組みの上でチャレンジしやすい環境です。その環境を維持し、事業を継続するためにも、ウェブサイトのUXの向上は、メディア業界としても取り組む価値があるはずです。

2021年に取り組みたいと考えていることはどういったことでしょうか?

ここ数年、ウェブだけにこだわらず「どうすれば記事を届けられるか?」を考えつつ、「どうすれば利益をあげられるか?」「読者にメディアを覚えてもらい、再訪してもらえるか?」を取り組んでいます。

媒体社は、記事等コンテンツを企画、制作し、発信、受け手に届け、売上を立て、また企画、制作する、というサイクルを基本に事業展開しています。

その中で企画制作機能は、今でも媒体社の特長だと考えています。しかし、どんな企業や個人でも情報発信できるインターネットでは、流通機能に優位性はありません。サイクルが途切れ、企画制作にもビジネスにも陰りがあるのが現状です。

何か打開策を見通せているわけではありません。記事を発信するだけでない機能を実装し、サービスとしてのメディアのあり方を試行錯誤してあがいていると思います。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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