正当なメディアビジネスで日本を牽引したい、ハフポスト崎川CEO・・・メディア業界2021年の展望(19)

新型コロナウイルスによって平時と全く異なる一年となった2020年。みなさんにとってはいかがだったでしょうか? そして2021年に向けてどのような事を取り組んでいくのでしょうか? 今年もMedia Innovationで大変お世話になった皆様に今年の振り返りと来年への展望をお聞き…

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新型コロナウイルスによって平時と全く異なる一年となった2020年。みなさんにとってはいかがだったでしょうか? そして2021年に向けてどのような事を取り組んでいくのでしょうか? 今年もMedia Innovationで大変お世話になった皆様に今年の振り返りと来年への展望をお聞きました。「メディア業界2021年の展望」全ての記事を読む。

ハフポスト日本版」を運営するザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社で取締役CEOを務める崎川氏。10月に開催した「Editorial Innovation Night #1」では同社のDXについてお話いただきました(レポート記事)。新型コロナウイルスの状況下でも盛り返し、12月も非常に良い業績だったということです。崎川氏に今年の振り返りと2021年の展望をお聞きしました。

崎川 真澄
ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社 取締役CEO
1963年生まれ。1986年早稲田大学政経学部卒。朝日新聞社入社。広告局にて東京、大阪、福岡、NYにて勤務。その後、経営企画室、システム開発部門、マーケティング本部、顧客データベース(朝日ID)部を経て、2017年、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン株式会社取締役CEOに就任。 同社は17年以来3期連続の黒字で累損赤字も一掃。20年4月には過去最高の2400万UU/月を記録。強いドメインを活かしたSEOと独自のノウハウによるSNS施策によりPV競争には勝ち続けると同時に、①SDGs②ダイバーシティ③働き方改革などの社会変革報道に注力している。

2020年はメディア業界にとってどのような年だったでしょうか?

自社の例で説明させていただくと、コロナ禍影響前の20年3月は、月間のネイティブアド収入額が過去最高となり、その後、4月はコロナの影響で月間UV数が過去最高の2400万UVを記録。しかし、その後PV広告単価の下落により収入数字は悪化し、PVも長期下落傾向となりました。夏を過ぎてビジネス部門の動きの活発化とともに収入は盛り返し、12月のネイティブアド収入の前年比は大幅増です。大変良い形で2020会計期は終われそうです。

ハフポストはジャーナリズム媒体なので編集部門が中心なのは言うまでも有りませんが、今年は、広告などのビジネス部門の奮闘が会社を支えました。コロナ禍を編集・広告・真ん中(コンテンツデザイン)・コンテンツマーケ全部門の協力で乗り越えつつ有ります。個性の立った社員が多いハフポストですが、これまでになく社内の一体感・信頼感は増しています。

とてもシンプルな話ですが、報道とビジネスの一線は確実に引きつつ、両部門がコミュニケーションよく、SDGsやダイバーシティ、働き方改革など、同じテーマ、同じ空を見ていることが大事だなと改めて感じた一年となりました。

これからのメディアに求められること、直面する課題はどういったことでしょうか?

正当なメディアビジネスが展開されているとは言えない部分、たとえば、過度なリタゲ広告や表現のきついコンプレックス広告など、ユーザー不在の商慣習が成り立っています。また、粗製乱造による検索上位狙いだけのコンテンツ生成なども引き続き行われています。きちんとユーザーに読まれるコンテンツを世に出す媒体が、正当に評価されマネタイズに成功し、業界のベンチマークとなる必要が有ると感じています。

まだまだ微力ですが、ハフポスト日本版が日本のデジタルメディアを引っ張っていける存在に成れればと思い、チーム一同で精進していきたいと思っています。

2021年に取り組みたいと考えていることはどういったことでしょうか?

SDGsの先を探す動き=企業単体でのシンプルなSDGsの取り組みから、金融や制度設計を含めた立体的な方向に加速していくと思いますので、その動きを助けたり、その波に乗っていくような共創的メッセージを媒体として発していきたいと考えています。また、コロナ禍によるEC全盛時代を迎え、『暮しの手帖』的なコンセプトを踏まえた、消費者の信頼に足るアフィリエイト記事をも展開してゆきたいです。消費者が環境保護などSDGs的な価値観に敏感になり、モノを買うことが企業に対する「支持」になるでしょう。

ビジネス面では、引き続き、SDGsやダイバーシティ、働き方改革などの社会課題テーマを動画番組制作やネイティブアド展開で追いかけていきますが、一方、われわれが把握している自社オーディエンスの属性を活かし、メディアインサイトによるソリューションをクライアントに提供するようにしていければと考えています。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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