英国政府は、メディア関係者やジャーナリストを暴力や脅迫、オンラインでの被害などから護るための初の国民行動計画を発表しました。
ボリス・ジョンソン首相は「言論の自由と報道の自由は私達の民主主義の中核であり、ジャーナリストは妨害される事なく仕事に取り掛かる事ができなくてはなりません。単に仕事をしているだけで記者に向けられる臆病な攻撃や嫌がらせは許されません。この行動計画は国民に情報を届け、政府に説明責任を求める人々を護る私達の取り組みの始まりに過ぎません」と述べています。
英国ジャーナリスト全国組合のメンバーへの調査によれば、半数以上がオンラインでの嫌がらせを体験し、1/4近くが身体的な暴力や攻撃を受けた経験があると回答したということです。英国政府はこうした事態を深刻に受け止め、英国で活動するジャーナリストを護るために、政府、行政機関、放送局、出版社、業界団体、労働組合が共同で取り組むべき事をまとめました。
目的としては下記の5点が掲げられ、
- この問題についての理解を深める
- ジャーナリストに対する犯罪を取り締まる刑事司法制度を強化する
- ジャーナリストとその雇用主が安全を確保するために必要なリソースを構築するのを支援する
- オンラインプラットフォームがオンラインでの幅広い嫌がらせに取り組む事を支援する
- ジャーナリストの価値を啓蒙する
概略ですが、具体的な対策は以下のようにまとめられています。
政府 デジタル・メディア・カルチャー・スポーツ省と内務省が共同で、ジャーナリストに対する脅威や攻撃について情報収集を続け、より良いアプローチを検討していく。外務・英連邦省はグローバルネットワークを活かして、ジャーナリスト保護のための他国のアプローチを収集、展開していく。
オンラインプラットフォーム 特に喫緊の課題となっているオンライン上での嫌がらせについては、審議中のオンライン安全法案を通じてジャーナリストを含むオンラインでの嫌がらせに包括的に対処を進める。ユーザーからの通報とそれに伴う対処を強化し、遵守しないプラットフォームに対しては最大で年間売上高の10%の制裁を課す計画。
警察 警察をカバーするジャーナリストの訓練のために強力する体制を構築する。ジャーナリストに対する不当な取り締まりを抑止するために全国レベルでの活動を指揮する主任警察官を任命した。
メディア組織 メディア業界団体はジャーナリストに対して、こうした問題に対処するためのガイドラインを作成して周知していく。放送局や出版社もスタッフとフリーランサーに対して、脅威や暴力に対するための新しいトレーニングを提供する事を約束し、安全方針を策定し、組織内に安全責任者を置く。
検察 表現の自由を講師するジャーナリストに対する犯罪は言論の自由と公共サービスの両方を危険に晒すもので、こうした犯罪を深刻に受け止め、各検察当局でジャーナリストに対する犯罪へのアプローチを再確認し、責任者を法の裁きにかけるというコミットメントを再確認する。
編集者協会のイアン・マレー事務局長は「行動計画は民主主義を護るために重要な役割を担うジャーナリストを保護する事の緊急性を認識しています。ジャーナリストを任務とする人々の役割や力は時に強い反応を引き起こす事があります。しかしこれはジャーナリストや家族を脅かすような形で現れるべきではありません。この行動計画はそれを明確にするものです」と述べています。
計画の全文はこちらから。