英国の9つの新聞がニュースレターファーストに転換【Media Innovation Weekly】1/23号

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今週のテーマ解説 英国の9つの新聞がニュースレターファーストに転換

英国の大手新聞チェーンで、「デイリー・ミラー」などを発行するリーチ(Reach plc)は多数の地方紙を発行していますが、そのうちの9つの新聞がニュースレターファーストに転換したそうです(Press Gazette)。

どれも依然としてウェブサイトはあるものの、そこでのPVを競うのではなく、ニュースレターのエンゲージメントを最重要視していくということです。同社では11月から5つの新聞を試験的に転換してきましたが計画を上回っていて、追加で4つを転換。リーチは200名の人員削減を発表しましたが、この4つは影響を受けないということです。

転換した新聞の一つ、オックスフォードシャーライブのサイトを見ると、メインの「オックスフォードシャーライブ・デイリー・ニュースレター」の他に、スポーツ、ライフスタイル、テレビ・映画、多様性と平等、ビジネス・金融というカテゴので複数のニュースレターが確認できます。

オックスフォードシャーライブでのニュースレター配信ページ

メイン以外はリーチが全国向けに制作しているニュースレターですが、各地方紙のユーザーも取り込んでいるようです。昨今、コスト削減の影響で地方紙は全国ニュースばかりになっているという指摘もありますが、混ぜ込むよりも、いっそ明確に分けてもらった方が読者にとっても分かりやすいのかもしれません。

ローカルニュースをニュースレターで届けようという試みは米国でも盛んになっています。簡潔な記法で知られるアクシオスは増え続けるローカル報道と全国報道を統合するハブを設置すると発表。昨年の情報ですが、米国25都市をカバーしている6AM CITYは広告、EC、有料登録で稼いで年間1000万ドルの売上を達成し、今年にも黒字化すると見ているそうです(Press Gazette)。

英国でもサブスタックでローカルニュースを配信するマンチェスター・ミルが約2年で1600人の有料会員を獲得して黒字化したそうです(月額5.83ポンドから)。いまは姉妹誌のリバプールポスト、シェフィールドトリビューンへと広がっているそうです。

メディアのコンサルティングを行っているアダム・ティンワース氏はブログで、「ローカルニュースをSEOで発見してもらうのは難しく、クリックベイドに走る危険性があります。そして低品質なコンテンツを書いたとしてグーグルに罰せられるのです」と書いています。一般的な話題性では全国紙に勝つのは難しいため、自分たちにとって有益な読者リストを作っていくニュースレターは手法として正しそうです。

今週の人気記事から スマートニュースが人員削減、景気後退懸念でコストカット

「SmarNews」を提供するスマートニュースが日米で約4割にあたる120名をレイオフし、日本でも希望退職プログラムを設定するということです。同社は2021年9月に251億円の資金調達を行い、時価総額は2100億円を超えるダブルユニコーン企業となっていました。主に広告ビジネスであり、景気後退の影響を強く受ける業態というのもレイオフに繋がった可能性があります。日本を代表するメディアプラットフォームであり、海外での可能性も秘めたプロダクトだと思いますので、再浮上を期待したいところです。

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会員限定記事から 世界的ファッション誌の「Vogue」、今年は10冊に

コンデナストが発行する世界を代表するファッション誌である「Vogue」ですが、今年の刊行は初めて年10冊になることが分かりました。過去3年間は合併号を1冊発行して年11冊という刊行ペースでしたが、更に減ることになります。雑誌の厳しさは周知の通りながら、世界的なブランドでも冊数を減らす判断が行われるという衝撃があります。ただ同誌はデジタルでも大きな存在感があることから、よりデジタルへの移行を促すという考えもあるのかもしれません。

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編集部からひとこと

久しぶりに地元に帰って色んな人に会って、楽しい話ができました。もっと頑張ろっと。今週は寒いみたいなんで皆さんお気をつけを。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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