コスト削減とデジタルへの転換を進める英国の公共放送BBCは、85年の歴史を誇る中東向けの放送局「BBCアラビックラジオ」(BBC Arabic Radio)の放送を終了しました。今後はアラビア語でのコンテンツはデジタルでの配信に移行するということです。
「BBCアラビックラジオ」は1938年1月3日に開局。第二次世界大戦当時、ナチス・ドイツとイタリアのファシスト政権がアラブ地域に対してイギリスの存在や関心を宣伝する中、イギリス帝国の植民地向けに初めて英語放送を展開した放送局となりました。
「BBCアラビックラジオ」と「BBCペルシャンラジオ」の閉鎖は昨年9月に発表されたもので、コスト削減とデジタルコンテンツに注力する方針の一環となります。BBC World Serviceでは約382人が雇用を失い、年間2850万ポンド(約45億円)のコストを削減する見込み。
最終日の27日午後には、85年の歴史を振り返るコンテンツや、過去の重要人物(エジプトの元大統領、ナセルなど)へのインタビューなどが放送されたということです。
BBCの方針転換とはいえ国家事業として作られ「フナ・ロンドン」(This is London)というコールで知られた放送局が閉鎖されるというのは、「帝国に日の没することはない」と呼ばれたのが遠い過去になった事を思わせる出来事です。