盛況な投資環境の中で、メディアやマーケティング領域の企業も活発に資金調達を行い事業の拡大を目指しています。「メディア&ファイナンスWatch」では毎月2回のペースで、ベンチャー企業から上場企業まで、資金調達、買収・売却、上場などメディアとファイナンスにまつわるニュースをまとめてお届けしていきます。
目次
C Channelが追加の資金調達(9/24、約9億円)
女性向け動画メディア「C CHANNEL(シーチャンネル)」やママ向け動画メディア「mama+(ママタス )」や、「インフルエンサーマーケティング事業」を展開するC Channel株式会社が追加の資金調達(TechCrunchによれば約9億円)。投資家は博報堂DYMP、SBIインベストメント、ABCドリームベンチャーズなど多数。直近ではTikTokやPinterestにも展開。
これまで多額の資金調達を繰り返し、大きな赤字を掘りながら売上高を拡大しているようです。毎年動画元年と言われ、動画領域のトップランナーとして走る同社ですが、ビジネスモデルを確立することができるでしょうか? ONE MEDIAが方針転換を図り、ViibarがBouncyを朝日新聞に売却するなど依然として動画単体での収益化は途上であると見受けられますが、次の一手が注目されます。
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サブミッションメディア「tone」のグリッジがSMEなどから調達(9/26、金額不明)
サブミッションメディア(音楽のプレイリストを中心としたメディア)を展開するグリッジがソニー・ミュージックやフェイスの子会社から資金調達を行いました。
Spotifyなどのサブスクリプション型の音楽サービスは、再生回数がレーベルへの収益配分の指標となります。ユーザーに影響力があり、プレイリストの選曲によって再生回数に影響を与えられるサブミッションメディアは世界的に注目を集めていて、日本でも幾つかのチャレンジが始まっていて、大手のSMEを味方に付けたグリッジが今後どのような戦略を取っていくのか注目されます。
SNS拡散支援のGENEROSITYがMBOと資金調達(9/18、約9億円)
インフルエンサーマーケティングを手掛ける株式会社GENEROSITYの経営陣が、ニューホライズンキャピタルから100%の株式を取得するMBOを実施し、同時にジャフコ、三井住友海上キャピタルが運用するファンドから約9億円を調達したと発表しました。同社は2016年12月にニューホライズンキャピタルが買収。投資ファンドによるベンチャー企業の取得ということで注目されていました。
主力はインスタグラムと連携して、イベントでのSNS拡散を支援するツール「#SnSnap」シリーズ。SNSに特定のハッシュタグが付けられて投稿された写真をその場で印刷できる機械を展開していて、イベントや記者会見で威力を発揮しています。
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インスタ投稿が一瞬で現金化されるFollopが調達(9/27、1800万円)
指定の商品やサービスに関するインスタグラムへの投稿が、1フォロワー1円で即座に現金化されるサービス「Follop」を運営する株式会社FollopがVCのEast Venturesと家入一真氏が率いるNOWから計1800万円を調達。今年4月にローンチし利用者は2500人、合計のフォロワー数は500万人を超えているそうです。
アプリを起動すると案件リストが表示されて、それぞれ獲得のための条件が並びます。案件はインスタグラマーを活用したマーケティングを望むような商材が並んでいます。従来、インフルエンサーの代理店がクライアントとの間を人力で繋いでいたのをアプリ化、自動化したというイメージでしょうか。
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在留外国人向けメディアのGuidableが調達(9/26、7200万円)
在留外国人向けのメディアを展開するGuidable株式会社がプレシリーズAとしてTIS、SocialEntrepreneur2投資事業有限責任組合、個人投資家から総額7200万円の資金調達を実施。累計調達額は1億円を突破したとのこと。
同社は日本文化紹介メディア「Guidable Japan」、求人マッチングサービス「Guidable Jobs.」、外国人に仕事を依頼できる「Guidable Crew」などを運営。調達資金で、プロモーションを強化しながら、法人顧客の新規開拓を目指していくとのこと。
AIを使ったアドネットワーク、スリーアイズが調達(9/25、金額不明)
自然言語AIによって、クライアントサイトと、掲載先のメディアの分析によって精緻なターゲティングを実現するアドネットワーク「CANDY」を展開する株式会社スリーアイズがマイナビとVOYAGE VENTURESから資金調達。ITPやGDPRなど個人情報利用は厳しく制限される環境下にあり、採用が進んでいるとのことで既に黒字化しているそうです。
ちなみに同社CFOの森永康平氏は経済アナリストとしてメディアでも活躍していて、近著に「親子ゼニ問答」があります。そしてその親とは、皆さんお馴染みの経済評論家の森永卓郎氏。
VR/MRライブ映像配信のアルファコードが調達(9/27、4億円強)
VR/MRライブ映像配信事業を手掛ける株式会社アルファコードがNTT西日本、日本創発グループなどが総額4億円強を調達。5G時代に向けてVR/MRプラットフォーム「Blinky」を活用した音楽ライブ配信事業をNTT西日本と展開していくとのこと。
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オンライン講座のスクーがシリーズCの調達(9/18、金額不明)
オンライン学習コミュニティの「Schoo」(スクー)を運営する株式会社Schooが、KDDIとグローバル・ブレインが運営する「KDDI Regional Initiatives Fund 1号」からシリーズCの資金調達。同ファンドとしては初の出資だということです。今後KDDIとの業務提携も行い、地域人材の育成や、5Gを活用した遠隔教育プラットフォームの開発を進めるとのこと。
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触れる動画のパロニムが調達(9/17、2.3億円)
動画視聴中に気になった場所を触ることで、情報をストックし、視聴中や視聴後に閲覧できる動画技術「TIG」を開発するパロニム株式会社が日本郵政キャピタル、NTTドコモ・ベンチャーズから約2.3億円を調達。ドコモとは業務提携もしていて、ライブ配信でも同様の技術を展開していくとのこと。
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Vox Media、合併時の時価総額は7億5000万ドル(9/25)
米国のデジタルパブリッシャーVox Mediaと、出版社のNew York Mediaが合併に合意。WSJが伝えるところによれば、Vox Mediaは7億5000万ドル、New York Mediaは1億5000万ドルの時価総額で合併比率が決定されたとのこと。New York Mediaの既存株主は新会社の12%を所有することになります。合併で時価総額は約1000億円となります。
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次回は10月中旬にお届けします。