香港の英字日刊紙でデジタル展開でも順調に成長をしているサウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post=SCMP)でデータ担当副社長を務めるコリー・リー氏が先日開催されたJournalismAI Festivalにて、同紙がいかにしてAIを活用して読者のペルソナを構築し、それに応じた精緻なマーケティングによってメディアの成長を実現しているかについて語りました。
目次
香港を拠点に世界中に読者がいるサウスチャイナ・モーニング・ポスト
サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は香港を拠点とする英語の日刊紙で、国際都市である香港を象徴するように、地元だけでなく世界中に読者がいて、その読者像も日々の地元ニュースを得たい読者から、中国や香港でビジネスをしているビジネスパーソンまで幅広いターゲットを抱えています。
メディアに対する向き合い方も、求めるものもバラバラな多様な読者像に対して画一的なアプローチでは満足させる事ができません。特にSCMPでは近年、有料のサブスクリプションに力を入れていて、読者を有料転換させようとすると尚更です。そこで取り組んだのが、AIや機械学習を活用したペルソナの構築と、それに応じたアプローチの構築です。
この作業をリー氏は「データを人間化していく」と形容しました。メディア運営者の手には膨大なデータが集まってきますが、それを単なるデータではなく、一定の塊のペルソナとして人間的に捉える事で、アプローチも人間味あるものになります。また、ペルソナは編集者、マーケター、エンジニア、経営陣など全社で共有する事で、コミュニケーションの共通言語となり、施策の精度を向上させる事にも繋がります。