前回に引き続き、オックスフォードのロイタージャーナリズム研究所(RISJ)のデジタルニュースレポートの内容をご紹介します。
2022年の報告書の内容はニュースメディア関係者だけでなく調査側のRISJに大きな衝撃を与えました。それというのも、気候変動や新型コロナウィルス、ロシアのウクライナ侵攻は重要なトピックであり、ジャーナリストのモチベーションも高く、デジタル技術を積極的に取り入れ、ニュースメディアの数も増えていて業界としては拡充され、ベストな状態で仕事を取り組んでいたにも関わらず、視聴者の注目と広告費の大半はデジタルプラットフォームに流れるといった現状がありました。その上、デジタルプラットフォーム上でもクリエイターやインフルエンサー、活動家や政治家がジャーナリストと競合する形で注目を集めるという状況にあり、オンライン環境は容赦ない勝者と敗者に二分される闘いとなっているのです。
更にこれまでニュースの典型的なターゲット、すなわち豊かで、高い教育を受け、特権的で、かつ中年の男性、白人というような保守的な読者像は、今回の調査で明らかな亀裂、つまり多くの一般市民とジャーナリストの間の関係にほころびができていることを明確にしました。
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