気候変動を巡る危機は年々深刻さを増しています。記録的な猛暑や洪水、山火事が各地で常態化しています。一方でトランプ政権などは気候変動に対するアプローチを縮小しています。ニュースメディアはこの問題をどのように伝え、人々はどのように受け止めているのでしょうか。
英オックスフォード大学ロイター・ジャーナリズム研究所が2025年12月に公表した「Climate Change News Audience Report 2025」は、こうした問いに対して国際比較データを提示しています。
同レポートは、ブラジル、フランス、ドイツ、インド、日本、パキスタン、英国、米国の8カ国で、オンライン調査を実施しました。その結果、環境・気候変動ニュースへの関心自体は依然として高水準にある一方で、実際にニュースに「触れる頻度」は減少していることが明らかになりました。
2025年時点で、直近1週間に気候変動に関するニュースを見聞きしたと答えた人は8カ国平均で47%にとどまります。これは2023年のピーク時(55%)からの低下です。特にフランス(2022年比−15ポイント)、米国(−11ポイント)、英国(−7ポイント)など、先進国での落ち込みが目立ちます。

注目すべきは、関心の低下が主因ではない点です。多くの国で、気候変動ニュースに「関心がある」と答えた人は7割を超えています。それにもかかわらず接触が減っている背景として、レポートはテレビ報道の減少と、高年齢層のニュース離れを挙げています。テレビ経由での気候変動ニュース接触は、2022年の31%から2025年には25%へと縮小しました。





