AP通信やガネットなどメディア連合、ジェネレーティブAIの規制原則案を提示

AFP通信、ゲッティイメージズ、AP通信などのメディア各社は公開書簡で、AIツールは各社のビジネスモデルを破壊し、誤った情報でウェブを氾濫させ、著作権法を破る危険性があると述べました。

テクノロジー AI

8月9日、AP通信やAFP通信をはじめとする世界の主要な報道・出版機関は、世界の政策立案者や業界リーダーを対象とした公開書簡に署名し、ジェネレーティブAIモデルの規制と責任ある成長のための原則案を提示しました。

本書簡は、技術革新と同じく迅速に、メディア業界を取り巻く適切な法的枠組みの構築を支持することを表明しています。具体的には、以下の規制を提示しています。

<公開書簡の全文>の一部
・AIモデルの作成に使用されるすべてのトレーニングセットの構成に関する透明性
・トレーニングデータおよびアウトプットに含まれるコンテンツの使用およびコピーに対する知的財産権者の同意
・メディア企業が、AIモデル事業者や開発者と、事業者の知的財産へのアクセスや利用の条件について集団的な交渉
・ジェネレーティブAIモデルおよびユーザーに対し、そのアウトプットおよびインタラクションがAIによって生成されたコンテンツを含むものであることを、明確、具体的、かつ一貫して特定することの義務
・生成AIモデルのプロバイダーに対し、そのサービスにおける偏りや誤った情報を排除するための措置を講じることを義務付け。また、AIの開発・導入に適用できる一貫した世界標準を作ろうとする政府や業界団体の取り組みへの取り組み

署名者は以下の通りです:フランス通信 (AFP)、欧州報道写真機関、欧州出版者協議会、ガネット|USA TODAYネットワーク、ゲッティイメージズ、全米報道写真家協会、全米作家組合、ニュース・メディア・アライアンス、AP通信、オーサーズ・ギルド

上記書簡には、「ジェネレーティブAIと大規模な言語モデルによって、いかなる行為者も、その意図に関係なく、過去の経験をはるかに超える規模で合成コンテンツを制作し、配信することが可能になる」と報道各社は書いています。

また、著作権侵害、虚偽または偏向したコンテンツの氾濫、メディアグループが信頼できる情報を提供するためのジャーナリズムに資金を供給できなくなるという悪循環の発生など、潜在的な問題を挙げており、各団体は、解決策の一翼を共同で担いたいと述べ、コンテンツへの合法的なアクセスを確保するための協議を呼びかけています。

AI企業は数十億ドルの投資を集め、グーグルやマイクロソフトを筆頭に、すべての大手ハイテク企業がこのテクノロジーに軸足を移しており、一部の企業は、Partnership on AIやFrontier Model Forumなど、いくつかの連合体を結成し、主に自主規制を推進しています。彼らは7月に、AIコンテンツに電子透かしを入れるなどの対策を講じることを約束し、誤報と戦うことを大々的に約束したものの、具体的なスケジュールや対策は示しておらず、著作権についてはほとんど触れていない状況にあります。また、グーグルは、今年初めにオーストラリアで行われた公開協議で、著作権法に「フェア・ディーリング」の例外を設け、特にAIのためのデータマイニングを認めるよう求めています。

今回の公開書簡は、迅速で効果のある施策を求め、世界の政策立案者や業界リーダーを対象に向け、提示されたものです。時間が経てば経つほど、技術進化による上記の懸念事項への対処が遅れ、権利侵害等の把握もより困難になるため、費用や立証にコストのかかる裁判に持ち込む前に双方の対立を避けるリーダーシップを求めたのだと思われます。

《前田邦宏》

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前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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