66回JCJ賞に鈴木エイト「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年から年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定する「JCJ賞」の66回選考会議で決定した6点の受賞作を発表しました。

メディア ジャーナリズム
66回JCJ賞に鈴木エイト「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」

日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、1958年から年間の優れたジャーナリズム活動・作品を選定する「JCJ賞」の66回選考会議で決定した6点の受賞作を発表しました。

「JCJ大賞」は、鈴木エイト氏の「自民党の統一教会汚染 追跡3000日」「自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言」(小学館)。

安倍晋三元首相が銃撃されて死亡してからまもなく1年になろうとしているが、「追跡3000日」は安倍氏暗殺からわずか3か月足らずで刊行された緊急出版で、それまでメディアからほとんど注目を浴びることがなかった著者初の単著。「山上徹也からの伝言」では狙撃犯の山上徹也と著者がツイッターでの接点があったことが明かされ、統一教会の被害者である彼の行為とその背景を、太田光などとの対談も構成に含めて、統一教会問題と事件の背景を多様な視点でとらえようと試みています。

JCJ賞は5点。「台湾有事の内実や南西諸島の防衛強化を問う一連の報道」(琉球新報社)は、「台湾有事」を煽り立てることで日本国憲法の「専守防衛」を逸脱した、軍拡路線を強硬に進める岸田政権の最前線に立たされる沖縄が、再び戦場と化される危機が迫っているとし。危険な野望の基礎となる「安全保障関連3文書」の取材を全社挙げて続けてきた琉球新報が、南西諸島への部隊・ミサイル配置の計画や離島での戦闘を前提にした日米の軍事戦略などのスクープ、住民無視の防衛強化の実態を、多面的・重層的に浮き彫りにしている。

小山美砂氏の「『黒い雨』訴訟」(集英社新書)は、特に2019年秋から毎日新聞の原爆報道キャップとして「黒い雨」訴訟を取材・研究・報道する小山氏が「黒い雨」訴訟を中心軸に据え、何故戦後75年余りもの間置き去りにされてきたのか、提訴したのは何故か、「黒い雨」の実態、選別された被爆者の現状、裁判の経過、地裁・高裁判決は何を意味するのか、そして残されている課題は何かを追究しました。

「命(ぬち)ぬ水(みじ)~映し出された沖縄の50年~」(琉球朝日放送)は、2016年、沖縄県が水道水源になっている川や地下水から、有害な化学物質・PFASが検出されたと公表したが、未だに汚染を止めることが出来ず、汚染源とみられる米軍基地には「日米地位協定」により立ち入り調査が出来ないことを、英国人ジャーナリストと共同で「日米地位協定の壁」を乗り越えて調査報道を継続し、制作した番組。番組を英語に翻訳して、アメリカのハーバード大学ライシャワー日本研究所が共催し「アジア研究協会」などで上映しました。

「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」(NHKEテレ)は、東京都八王子市の滝山病院を警察が捜索、患者への暴行の疑いで看護師を逮捕し、監督する東京都も調査に乗り出した。NHKは内部告発による病院内の映像や音声記録を入手。番組は「うっせえ! 殺すぞ!!」と患者に罵声を浴びせる看護師とみられる男性の声を伝えた。家族や病院関係者などへの取材から、「死ななければ退院できない」という病院の実情と背景が明らかになる。浮かび上がってきたのは、心の病を抱える患者たちを「お荷物」とみなす医療行政の構造を伝えた調査報道ドキュメントです。

「市民と核兵器~ウクライナ 危機の中の対話~」(NHKEテレ)は、1991年6月に独立し、94年には、米ソに次ぐ世界第3位の保有核兵器2000発を放棄する「ブタペスト覚書」に署名したウクライナに、日本から帰国したボグダンの祖父パルホネンコはこの歴史的決断の時に教育相として関与。祖父はボグダンに「私たちは正しい決断をした。核兵器なしで独立を守る」と語っており、この祖父の言葉の意味を確かめようと、ボグダンは前線の兵士や、農民、医師らと対話を重ねるドキュメントです。

《Nakashima Takeharu》
Nakashima Takeharu

Nakashima Takeharu

「佐賀経済新聞」編集長。県内で開催のアジア最大級の熱気球大会では広報・メディア対応とネットコミュニケーションを担当。