株式会社DataSignは、総務省「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」の一環として、情報の信頼性を評価・共有できる新しいプラットフォーム「Boolcheck」を試験的にリリースしました。
インターネット上の偽・誤情報による被害が深刻化する中、DataSignは個人が主体的に対応可能な新たな情報検証の仕組みを提供します。Boolcheckは、SNSや特定のプラットフォームに依存せず、URLさえあればどのようなコンテンツに対しても評価を行うことができます。
特徴として、分散型アーキテクチャを採用し、特定の組織や国の管理下に置かれることなく、グローバルで透明性の高いシステムを実現しています。評価データは改ざんが困難な形で保存され、誰でも検証することが可能です。
著名人は、自身の名を騙った偽広告に対して「これは偽物である」と表明することができ、ジャーナリストが記事の信憑性について、専門的な見地からコメントを付けることにも対応します。属性の証明にはVerifiable Credentialsを使用し、組織の実在性確認にはX.509証明書を活用します。
利用者向け機能として、ブラウザ拡張機能によりウェブページに関する真偽情報を自動的に表示する設定が可能です。例えば、偽広告に対する著名人本人からの注意喚起や、ニュース記事に対するファクトチェック結果をリアルタイムで確認できます。
各種プラットフォームとのAPI連携に対応できる仕様となっており、ニュースサイトやブログプラットフォームは、記事の信頼性を示す指標としてBoolcheckを活用できます。プラットフォーム事業者は、Boolcheckを広告審査やアカウント認証の補助ツールとして利用可能です。今後、APIを公開して事業者がシステムに組み込めるようにすることで、広告やアカウントの審査などへの活用を推進する予定です。
著名人の信用を悪用した偽情報コンテンツの流通により、令和6年中のSNS型投資詐欺の被害額は約800億円に達したと報告されています。今後の展開として、前澤友作氏をはじめとする著名人や複数の主要メディアのジャーナリストによる実証実験を行い、フィードバックをもとにシステムの改善と機能の拡充を図る計画です。
さらに、システムの基盤となる技術については、標準的な仕様を組み合わせて開発し、ソースコードを利用しやすいライセンスの下でオープンソース化する考えです。これにより、幅広い主体による活用と、オープンなコミュニティによる継続的な改善を目指すとしています。
Boolcheckは、個人の主体的な参加と分散型のアーキテクチャにより、プラットフォーム事業者に依存しない新たな情報検証の仕組みを提供します。今後の実証実験や機能拡張を通じて、インターネット上の偽・誤情報対策の新たな選択肢となることが期待されます。
