SMN株式会社は、テレビCMメタデータシステムを活用した2025年12月度の主要5大都市圏におけるテレビCM放送回数の調査結果を発表しました。調査対象は地上波25局とBS放送6局で、番組宣伝を除く全CMを集計したものです。
3カ月連続首位のベンザブロック、PayPayカードが2位に急浮上
2025年12月のランキングでは、アリナミン製薬「ベンザブロックプレミアムDX」が10月から3カ月連続で首位を維持しました。注目すべきは2位に急浮上したPayPayカード「PayPayカード」です。同社はバーコード決済「PayPay」と連動した還元キャンペーンや、セキュリティの強さを全面に押し出した出稿を強化しています。
8位にランクインしたソフトバンク「ペイトク」と合わせて見ると、PayPayのキャッシュレス決済を軸とした経済圏(エコシステム)の拡大戦略が色濃く反映されています。物価上昇が続く中、ポイント還元による実質的な値引き効果を訴求する戦略が、消費者の生活防衛意識と合致した形です。
TikTokが安全性訴求で4位にランクイン
4位にはTikTokがランクインしました。同社は庄司智春さん・藤本美貴さん夫妻を起用し、親子でも安心して利用できる「安全性」を訴求するCMを大量出稿しています。これはプラットフォームの信頼性向上を最優先する同社の世界的な戦略の一環と考えられます。
短尺動画プラットフォームをめぐっては、利用者層の拡大とともに安全性への懸念も指摘されてきました。著名タレント夫妻という家族の象徴的存在を起用することで、幅広い年齢層への浸透を図る意図が明確に表れています。
前年比較で浮き彫りになった消費トレンドの変化
2024年12月との比較では、広告出稿トレンドの決定的な変化が浮き彫りとなりました。前年は「ふるさと納税」の駆け込み需要が12月に集中し、「ふるなび」や「さとふる」が上位にランクインする年末の風物詩が見られました。しかし2025年は10月のルール改正(ポイント付与禁止)に伴う駆け込み需要により、出稿のピークが9月へと大幅に前倒しされました。
また、2024年は「ニトリ」の独走や「エアペイ」「WECARS」といった新生活サービスの台頭が目立ちましたが、2025年12月は物価上昇を背景とした「PayPayカード」によるポイント還元や、家族での安心利用を謳う「TikTok」の安全性訴求が上位を占めています。消費者の関心が実生活への投資から、デジタル経済圏を活用した「生活防衛」と「プラットフォームへの信頼性」へと鮮明にシフトした1年と言えます。
地域別では地元企業の季節商材が存在感
東京・大阪ではPayPayカード「PayPayカード」、TikTok「Tik Tok」などが上位にランクインする中、福岡ではイオン九州「イオン九州 最得の歳末」が2位に入りました。札幌では2位3位にセコマ(セイコーマート)「特製北のおせち三段重 新春の慶」、「クリスマスケーキ」と、地元企業の季節商材が強さを見せています。
全国展開するデジタルサービスの広告出稿が増加する一方で、地域密着型小売業の季節需要に対応した広告戦略も依然として有効であることが確認できます。特に北海道では地元チェーンであるセコマの存在感が際立っており、地域特性に応じた広告戦略の重要性が示されています。
メディアビジネスの視点から見た示唆
SMN株式会社が提供するテレビCMメタデータは、ソニーと共同開発したシステムで約20年間の運用実績があり、10万件以上のCMメタデータと5000万件以上の過去放送履歴データが蓄積されています。即時性の高いデータはWeb広告の掲出トリガーとしても活用されており、マスメディアとインターネット広告の架け橋として機能しています。
こうしたデータ活用は、テレビCMという従来型メディアの価値を再定義する試みとも言えます。放送履歴データを購買データや視聴ログデータなどのビッグデータと組み合わせることで、クロスメディアのマーケティング分析が可能になります。メディアが持続的なビジネスとして存続するためには、単なる広告枠の販売ではなく、データを活用した付加価値の提供が不可欠です。
今回の調査結果は、消費者の関心がどこに向かっているかを示すバロメーターとして、広告主だけでなくメディア事業者にとっても重要な示唆を含んでいます。デジタル決済エコシステムの拡大やプラットフォームの信頼性向上といったテーマは、今後も継続的に注目すべき広告トレンドとなるでしょう。









