英国の通信・放送規制機関Ofcomは、英国におけるニュース消費の年次調査「News Report 2026」を公表しました。調査では、成人の21%が過去1カ月にAIアプリやAIサービスをニュース接触のために使ったことが分かりました。ChatGPTはニュース目的で使われたAIツールの中で最も多く、成人の13%が利用していました(Ofcom)。
Ofcomは、ニュースが報道機関のサイトやアプリへ直接読みに行くものから、オンライン上の仲介者を通じて表示・推薦されるものへ移っていると説明しています。英国の成人は1カ月あたり平均12のニュースソースに接触しており、25~34歳では18に増えています。ニュース接触は単一メディアの習慣ではなく、複数の入口を行き来する行動になっています。
過去1カ月にオンライン経由でニュースに接触した成人は82%で、テレビの79%を上回りました。ニュース消費に費やす時間は1日あたり推計72分で、このうちオンラインプラットフォームが34分、テレビが18分でした。到達率でも利用時間でも、オンラインは英国のニュース消費の中心になっています。
重要なのは、オンラインの中でも「直接訪問」より「仲介者経由」が大きくなっている点です。ソーシャルメディア、動画共有プラットフォーム、検索エンジン、ニュースアグリゲーター、AIツールなどを含むオンライン仲介者を通じてニュースに接触した成人は73%でした。一方、報道機関のウェブサイトやアプリから直接ニュースを得た成人は57%にとどまりました。

AIはこの仲介者の新しい層として浮上しています。検索やSNSがニュースへの入口になったように、生成AIも質問への回答、要約、関連記事の提示を通じて、ニュース接触の前段に入り始めています。ユーザーにとっては便利な要約ツールですが、報道機関から見ると、記事本文やブランドに触れる前に情報が再構成される接点でもあります。
ただし、AIによるニュースへの信頼はまだ確立していません。Ofcomによると、成人の56%はAIが書いたニュース記事について、人間が書いた記事より信頼しにくいと回答しました。利用が広がっている一方で、ニュースの正確性、出典表示、編集責任をどう担保するかは未解決の課題として残っています。
ソーシャルメディアと動画共有サービスは、依然として最も一般的なニュース仲介経路です。過去1カ月に成人の60%がこれらのサービスをニュース接触に利用し、16~24歳と12~15歳の子どもではいずれも78%に上りました。成人ではFacebookが39%で最も多く、YouTubeは33%まで伸びています。

若年層では、ニュースは報道機関のアプリやテレビ番組を起点に見るものというより、動画、SNS、検索、AIが混ざったフィードの中で見つけるものになっています。Ofcomの結果は、ニュースブランドの認知や信頼が、記事ページに来る前のプラットフォーム上で形成される比重が増していることを示しています。
一方で、公共放送や既存放送局のニュースはオンライン上でも存在感を保っています。BBCは、ソーシャルメディア上で見られたニュースも含めると成人の80%に到達し、16~24歳でも3分の2がBBCのニュースコンテンツに接触していました。強いニュースブランドは、仲介者経由でも一定の到達力を維持しています。
今回の結果は、AIを単独のニュースメディアとして見るよりも、検索、SNS、動画プラットフォームと並ぶ「ニュースの入口」として捉える必要があることを示しています。報道機関にとっては、自社サイトへの直接流入だけでなく、AIやアルゴリズムによる要約・推薦の中で、どのように出典性、信頼性、ブランド接点を保つかが課題になりそうです。




