CCIとイー・ガーディアンが立ち上げたビズテーラー・パートナーズ、同社が目指す広告業界の課題解決とは?

電通グループのインターネット広告関連事業者である株式会社サイバー・コミュニケーションズ(以下、CCI)と、インターネット広告入稿・審査などの広告監視業務を含めた様々なBPO業務支援で実績のあるイー・ガーディアン株式会社(以下、イー・ガーディアン)が合弁会社…

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電通グループのインターネット広告関連事業者である株式会社サイバー・コミュニケーションズ(以下、CCI)と、インターネット広告入稿・審査などの広告監視業務を含めた様々なBPO業務支援で実績のあるイー・ガーディアン株式会社(以下、イー・ガーディアン)が合弁会社として、株式会社ビズテーラー・パートナーズ(以下、BTP)を4月1日付で設立しました。

年々市場規模を拡大しているネット広告ですが、主流となっている運用型広告では運用の複雑さが増し、人材不足が深刻となっています。ビズテーラー・パートナーズでは、こうした広告の運用業務だけでなく、広告にまつわる業務を集約し、高度化していこうという狙いがあるようです。

ビズテーラー・パートナーズの代表取締役社長に就任した倉持氏にお話を伺いました。

―――これまでの経歴を教えてください

2005年にCCIに入社してから、大半のキャリアを電通出向にてデジタル広告営業担当やメディアプランナーなどの経験を積んできました。CCIに帰任してからはメディア担当として、様々なメディアさんの販売支援やグロース支援を行ったり、海外から新たにPFがジャパンエントリーをするに当たってのパートナーとして市場開拓などをやらせていただきました。

直近の仕事では社内の広告関連オペレーション業務の改善に取り組んでいて、扱う多数の媒体の情報整理や、情報の共有基盤の整備、広告原稿の入稿基盤の整備、RPA等を活用した業務効率化支援などを行ってきました。

具体的には、今までは営業担当が垂直統合でやっていた、提案、受注、入稿、レポートといった一連の流れを、業務別に専門組織を作って、集約化し、効率を高めていくという事をやってきました。一定の業務が集約されることで、RPAのような仕組みを導入して自動化するということもスムーズにできるようになりました。

株式会社ビズテーラー・パートナーズ代表取締役社長 倉持良氏

―――ビズテーラー・パートナーズは、業務の集約をより業界横断で進めるための取り組みということでしょうか?

はい。ビジネスの競争優位に繋がらない業務でも、他社がやっている以上は自社もやらなければならないと各社が努力をして改善をしていっていると思います。そういった共通の業務は、できるだけ効率的且つ、安定稼働する為に統一化が必要な領域だと思います。

BTPでは、そういった各社が足並みを揃えていくべき領域に集中してサポートを行うことで、共通基準や共通ルールを作っていく業界の共通基盤となる存在になっていくことを目指していきます。

もともとCCIは力を入れて体制を整備してきたこともあって、広告業務の一部を引き受けてもらえないか? という相談はこれまでも寄せられてきていました。ただ、単純に一部のBPOという考え方は実は難しいんです。入稿作業だけを引き受けても、実は前後の工程と密接と繋がっているので、今度はこの接合点がボトルネックになってしまう。また、現行のワークフローの一部だけを出すのではなく、ワークフロー自体を見直した方がいいケースもある。ですので、業務の組み立てを改めて考える部分からサポートしていく必要があると思っています。

―――クライアントと想定されるのはどういった企業でしょうか?

広告に携わっている企業であれば、広告代理店、メディア、プラットフォーム事業社、広告主と幅広くお役に立てると思っています。

この記事を見ているのはメディア側の方が多いかもしれませんが、例えばメディアも入稿された原稿を確認すると思うのですが、粒度は異なれども近しい作業を広告主も、代理店も、メディアレップも、皆が同様にやっているんです。一朝一夕にはいきませんが、こういった部分にも改善できる余地はあるはずです。各社の共通する課題を見極め、将来的には広告業務の改善をツールも含めて提供していく事も考えています。

―――イー・ガーディアンと組んだのはどういった理由でしょうか?

実はCCIは以前からイー・ガーディアンさんとお付き合いがあり、一部の業務をCCIの中に入って請け負ってもらっているという関係にあります。長年のお付き合いですので、広告業界のある意味では特殊な部分も十分に理解をいただいています。広告業界に特化したBPOの事業ですので、業界事情や商習慣、利害を分かっているのは重要だと思います。

また、イー・ガーディアンという社名から分かるように非常に信頼できる会社です。運営拠点を見せてもらっても、セキュリティや管理をかなり厳しく運営されています。広告の業務では色々な情報に接することになりますので、情報管理も重要ですが、そこを信頼できるパートナーだというのが大きいですね。

―――少し広い話になってしまいますが、いまの広告業界の課題はどういった部分にあると考えられますか?

人材の問題は常について回ります。デジタルを中心にいかに専門性を高められるかが勝負だと思います。

もう一つは信頼性だと思います。特にブランドセーフを実現するための広告表現の適切化はますます重要になっていくと思います。デジタルでは配信も複雑化し、必ずしもチェックが十分でないものが流通する懸念があります。最近では、テレビ広告のデジタル化が本格的に進み始めている中で、これまで以上に動画フォーマットの広告が主流になっていくのと同時に、テレビCM同様の厳格な基準を満たしたクリエイティブ審査やCMチャンスへの細かい素材割付運用が求められることも増えていくことが予想され、これまでよりも審査運用体制を強化していかなければならないケースも増えてくると考えています。

各社がそれぞれで体制を作るのものも難しい場面が出てくるのではないかと思います。そういう時に我々のようなプレイヤーが求められるのではないかと考えています。

―――これからの広告担当者にはどういった事が求められるでしょうか?

昨今、プロモーションの枠を超えて、様々なデータやチャネルを駆使した高度なマーケティングが求められてきているかと思います。これまで以上に生活者が購買に至るまでを緻密にデザインできるかが求められてきていると感じます。

そこで求められるのは、リアルな生活者を深く理解した上でクリエイティビティをもって生活者の心理・行動を促せるストーリーが描ける能力だと思います。それも個々人の勘や経験に留めるのではなく、各社が実績として蓄えた様々なキャンペーンデータなどに裏打ちされた集合知と昇華させていくことが重要になってくると思います。

これを実現していくためには、よりクリエイティブな発想に費やす時間やデータ分析に集中できる環境が必要だと思いますし、そのためにビズテーラー・パートナーズがオペレーション部分でお役に立てることが増えてくると考えています。

―――最後にビズテーラー・パートナーズが目指す姿を教えてください

繰り返しになりますが、各社が抱えている課題は共通しているという実感があります。しかも、それは競争力を左右しない部分だったりします。そういう部分は業界として協調しながら取り組んでもいいんじゃないか、というのがビズテーラー・パートナーズの趣旨です。健全で持続性の高い広告市場を創っていくために協調するべき領域においては業界標準化を図っていき、共通基盤として役割を果たせるといいなと思っています。この基盤があることで、広告業界が本来競い合うべき戦略分野に投資ができるようになってくる、それによって広告市場が更に拡大していく、そういうお手伝いができればと思います。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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