ソーシャルメディアで表面化する人種差別、なぜテック企業は積極的に対応しないのか?

Twitter社はついに右翼コメンテーターのケイティ・ホプキンス氏を「憎悪に満ちた行為」ポリシーに違反したとして、そのプラットフォームから永久に追放しました。Twitter社が長期間に渡り攻撃的な投稿をしてきた人物を追放するのになぜこんなに時間がかかったのかと疑問…

メディア その他
<p>Photo by Mark Wallheiser/Getty Images</p>

本記事はThe Conversationに掲載された、イギリスのBirmingham City Universityで犯罪学を専門とするImran Awan教授による記事「Social media helps reveal people’s racist views – so why don’t tech firms do more to stop hatespeech?」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。

この記事には、人種差別的、イスラム恐怖症的、脅迫的な言葉が含まれています。

Twitter社はついに右翼コメンテーターのケイティ・ホプキンス氏を「憎悪に満ちた行為」ポリシーに違反したとして、そのプラットフォームから永久に追放しました。Twitter社が長期間に渡り攻撃的な投稿をしてきた人物を追放するのになぜこんなに時間がかかったのかと疑問に思う人も多いでしょう。

ソーシャルメディア上には、ホプキンス氏のように大規模なフォロワーはおらず一般人として認知されているが、実際には同様に危険な思想を持つ人々は沢山います。彼らは極右的ではないかもしれませんが、それでも人種や宗教的なヘイトを表現し人々を扇動しています。

Black Lives Matterにより人種差別問題に注目が集まり、また、有色人種に対しての投稿を行っている人々からの反発が生じています。インターネット企業があらゆる形態の偏見に対しより積極的に取り組むべき時が来ています。

数年前、私は2013年のウリッジテロ事件を受けて、オンライン上でのイスラム恐怖症について調査を行い、Twitter上で人種差別主義者として分類される可能性のある人々を8つのタイプに分けました。そして、分類された人々のほとんどは極右派ではありませんでした。彼らは、建設業者、配管工、教師、さらには地元の議員をやっているような人々でした。しかし、多くは、独自の陰謀論と 「私たちと彼ら」という視点で作られた差別的なストーリーを広めるためにソーシャルメディアを利用していました。

これらのカテゴリーに当てはまる人々の中には、今でもかなり偏見に満ちた投稿や脅迫的な投稿をする人がいます。例えば、2017年のマンチェスター・アリーナ襲撃事件の後、イスラム恐怖症的なツイートをいくつか投稿したことで収監されたインド出身のロデンヌチャンド氏のような人たちです。彼の投稿の中には「イスラム教徒の喉を切り裂きたい」という内容のものもありました。

一方、ラグビーを好む学生のリアム・ステイシー氏は、サッカー選手のファブリス・ムアンバ氏について人種差別的なツイートをしたとして捕まりました。これらのケースはどちらも、多文化主義に反対の極右派のネオナチでなくても、偏見に満ちた、そして実際に犯罪を示唆する発言をすることで捕まる可能性があることを意味しています。私たちもソーシャルメディアで拡散されているような人種差別的な見解やフェイクニュースを鵜呑みにしてしまいそのような発言をしてしまう可能性があります。

参加する


《The Conversation》

関連タグ

The Conversation

The Conversation

The Conversationは2016年に設立された研究者や専門家によるニュースやオピニオンを伝えるメディアです。

特集