ウェブサイト分析企業である米Chartbeatは、読者のサイト滞在時間を伸ばしてロイヤルティを高める基本的な方法をまとめたレポート「Navigating the New Reader Journey(新しい読者の旅をナビゲートする)」を発表しました。
同レポートによると、サイトを訪れた読者の45%が15秒以内に離脱し、一度サイトを離脱した読者の60%は、同じサイトを再度訪れないとのこと。これは結果的に、読者の獲得や維持、収益などの機会の損失につながるとしたうえで、サイト滞在時間に関する課題を解決するための以下の6つのステップを提示しました。
1.ロイヤルオーディエンスを構築する過程を調査する
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最初のステップは、オーディエンスが自社メディアのコンテンツを見つける方法と、その方法が読者の行動にどのような影響を与えるのかを理解することです。検索やSNSなどのチャネルを活用したコンテンツ発信にリソースを割いているメディアは多いですが、各チャネルに合わせたコンテンツの作成が十分にできているメディアは多くありません。
たとえば、メディアによっては「モバイル版を使用しているオーディエンスは、PC版を使用しているオーディエンスよりもロイヤルティが高い」などの特徴があるため、どのチャネルを使った方がロイヤルティが高まるのか、各チャネルの読者はどのようなコンテンツを期待しているのかなどを調査する必要があります。
2.コンテンツを最適化する
1つ目のステップで読者がコンテンツを見つける方法が明確になったら、次の手順でコンテンツを最適化します。
1.コンテンツを評価する
たとえば、SNSでコンテンツを発信している場合、次の点を評価する。
・読者が混乱するほど長い文章や詳細な情報がないか
・情報をよりわかりやすく伝えるためのビジュアルとなっているか
・より良い情報を提供するためのリンク付けがされているか
2.見出しはコンテンツの質を左右する重要な要素である
読者の行動は時間とともに変化するため、最初に設定した見出しが必ずしも最適とは限らない。実際に10万件の見出しを対象にChartbeatが調査したところ、後で変更した見出しよりも最初に設定した見出しのエンゲージメントが高くなったのは、全体の38%に留まった
3.トラフィックの多いページを新しいコンテンツや最適化で保護する
時間が経ってもエンゲージメントを得られるコンテンツに、新しい情報やリンクを追加するなどして保護する
3.サイト滞在時間を長くする
運営しているサイトを訪問した読者の45%が15秒以内に離脱するのであれば、次のような対策が有効です。
1.離脱率を改善するための計画を立てる
時間の経過とともに行動が変化する読者に対応するため、実験や今後の計画を立てるための時間が必要である。まずは、過去のコンテンツが読者からどのような反応を得ているかを調査して計画を立てる
2.エンゲージメントの深さを理解する
読者がサイトのどこまで移動したかは、読者をどれほど惹きつけられたかを示す重要な指標である。読者がどこで離脱しているのかが分かれば、小見出しを変えたりリンクを追加したり、別の画像を挿入することで離脱率を改善できる
3.コンテンツを監査する
ステップ2と同様に、文章のわかりやすさやビジュアルなどを評価することで離脱率改善につながる
4.迅速に実行する
過去のコンテンツから明らかになったデータをもとに実験し、パフォーマンスをチェックする。良質なコンテンツにもかかわらずエンゲージメントが低い場合は、再度理由を突き止め、滞在時間を長くするための調整をする
4.長期的な成功のために取り組む
読者の滞在時間を長くするための取り組みも重要ですが、次の手順に従い、メディアの長期的な成功のために取り組むことも大切です。
1.メディアの強みを評価する
コンテンツのベストプラクティスを検討して反復し、継続的にメディアの規模を拡大していく必要があるが、そのためにはメディアの強みを評価する必要がある
2.メディアの弱点を改善する
読者の行動の変化に対応できてこそ、メディアの規模拡大につながるため、次のことを実行に移す
・見出しや画像のA/Bテストなど、可能な限り実験を奨励する
・コンテンツのレイアウトやキュレーションの方法についての仮説を検証する
・エンゲージメントを高めるために、デバイスベースのエクスペリエンスを繰り返す
5.行き止まりのないコンテンツをつくる
読者をコンテンツに引き込むため、次のことを行う必要があります。
1.読者が使用するデバイスに対応する
読者は様々なデバイスでコンテンツを読むため、PC版の魅力をすべて反映したモバイル版を提供することが重要である
2.コンテンツの深さと質をアピールする
慎重に考慮された位置に挿入した関連記事などのリンクは、エンゲージメントを高める効果的な方法である
3.わかりにくいリンクは挿入しない
曖昧でわかりにくいリンクはクリックされないため、コンテンツのトピックに直接関連するリンクに誘導する
6.メディアの文化を構築する
ステップ5まででロイヤルティを高められるようになった後に、メディアという組織として継続的にロイヤルティに焦点を当て続けるには、「実験」と「協力」の文化を構築することが重要です。そのためには、特に次のことを把握しておく必要があります。
・データは組織内で共有することで、より実用的なデータとなる
・データは複雑なテーマでもあるため、人間による意思決定を評価するためにデータを活用することの重要性を再確認することが大切である
・専門のオーディエンス開発チームがない場合は、社内にデータ処理において優れた人材がいることを確認する
いずれも目新しい方法というわけではありませんが、網羅的に導入できているメディアは多くない可能性が高く、上記のステップを徹底的に実行に移して他メディアとの差別化を図る必要がありそ