パブリッシャーはHTML5ゲームに勝機を見出せるのか? ニューヨーク・タイムズやFTの成功例も

本記事はWeb PublisherおよびApp Developerのメディアパートナー事業を主事業として展開する株式会社フォーエムによる寄稿です。

HTML5ゲームとは

HTML5技術とJavaScriptを組み合わせて作られた、Webブラウザ上で遊べるゲームのことです。ゲームの提供者は専用のアプリの開発が必要なく、プレイヤーもゲームをダウンロードしたり会員登録をしなくてもプレイすることが可能です。また。LINEやFacebookといったSNSでURLを貼り付けるだけで他人に共有することもできます。

HTML5という技術自体は2008年に草案が発表され、2014年に正式に勧告されるなど、かなり以前から存在しています。というのも、2010年頃までに急速に普及したApple社のiPhoneやiPadが、Flash企画への非対応を貫き、HTML5を支持したことが大きく影響しています。この段階ではネイティブアプリ市場が大きく拡大し、多くのゲームプロバイダーはネイティブアプリでのゲーム開発を進めました。結果、App StoreやGoogle Play Storeは数多くのゲームアプリで溢れかえることになりました。

しかし、このような環境では、小さなゲームプロバイダーは自前でプロモーションしなければ自社アプリを流通させることができず、その一方でプラットフォームには多額の手数料を払わなければなりません。そのような中で、2020年末にFlashがサポートを終了し、その穴を埋める技術としてJavaScriptのSDKの需要が増加。そこで、進歩したJavaScript技術を用いたHTML5ゲームが盛んに開発されるようになりました。また、スマートフォンのスペックが劇的に向上したことに加え、ブラウザ上の周辺技術も進歩しているため、ブラウザ上でもスムーズにゲームが稼働するようになったことなども挙げられます。

HTML5ゲーム実装のメリット

HTML5ゲームでは、ブロック崩しやパズルゲームといったシンプルなゲームから、攻略要素の複雑なシミュレーションRPGまで様々なジャンルのゲームを開発することが可能です。また、ゲームを通じて自社製品やサービスの宣伝、キャンペーン施策も可能となるので、自社のメディア特性に合わせたHTML5ゲームを実装することで、パブリッシャーには以下のようなメリットがもたらされます。

  • 来訪者の滞在時間を伸ばして広告のインプレッションを増加

HTML5ゲームは、プレイ中にインタースティシャル広告やリワード広告を表示させ、収益の拡大を図ることができます。来訪者の興味関心に合致したゲームであれば、プレイ時間が伸び、それに伴って広告の表示回数も増えていきます。またプレイ時間が伸びれば、Webメディアの滞在時間の改善にもつながる施策となるため、サイト全体のインプレッションの獲得に繋げることができます。

  • 顧客満足度の向上による収益の拡大が狙える

HTML5ゲームでは単純にゲームプレイを促すだけでなく、プレイ特典として割引クーポンの発行をすることなども可能です。キャンペーンサイトやコーポレートサイトに実装すればECサイトへの流入増加を促したり、ポイント付与などでユーザーを定期的にサイト訪問させることでリピート施策にすることもできます。またこのような施策で顧客満足度を向上させることができれば、サブスクリプションの解約防止にもなり得ます。

  • Webメディアのコンテンツが充実する

記事ばかりのWebサイトではユーザーにとってつまらなく感じられる可能性もあります。そこで、自社ブランドや製品、サービスの特徴を理解してもらえるゲームや、業界における専門知識が深まるゲームなどを実装することで、Webメディアのコンテンツが充実し、エンターテーメント性を感じさせることができます。またより専門性に特化したWebメディア作りによって、来訪者に新たな体験を与えることになります。

海外パブリッシャーがHTML5ゲームを実装している事例

  • New York Times

全世界で780万人を超える購読者を持つNYTは、2022年1月31日に、『Wordle(ワードル)』というHTML5ゲームを買収したことを発表しました。この『Wordle』は、Webゲームとして無料提供されている単語当てゲームで、英単語を入力して得たヒントを頼りにその日のお題となっている5文字の単語を6回のチャンスの間に当てるというもの。NYTでは、クロスワードパズルなどの娯楽コンテンツを目的に購読するユーザーを多く抱えており、非常に親和性の高いゲームです。

  • Financial Times

英国の経済紙、FTは、教育に特化したコンテンツやゲームの配信に注力しています。 学生向けに開発された『Climate Game(クライメート・ゲーム)』は、気候変動を楽しみながら学べるHTML5ゲームです。このゲームは、2050年までにネット・ゼロを達成するために「未来の世代のための大臣」に扮し、全知全能の力を活かして様々な政策、技術投資の判断をクイズ形式で回答し、将来の気候変動の最悪の事態から地球を救うことができるかを競うという内容です。楽しみながら未来の気候変動対策のイメージを持つことができることも相まって、フィナンシャル・タイムズのブランドイメージの向上や、Webメディアへの流入増加などに貢献しています。

HTML5ゲームの実装ハードル

どれだけパブリッシャーの皆様にとって魅力的なコンテンツでも、技術やコストの面で実現性が低ければ意味がありません。HTML5ゲームの場合は、実装面においては大きな障壁はほとんど存在しません。ただし、その前段階として開発の問題は存在します。HTML5ゲームは、HTML5のコーディング技術とJavaScriptのプログラミング技術があれば誰でも開発可能なので、簡単なゲームであれば自社のリソースで開発することも不可能ではありません。

しかし、複雑なゲーム性が求められる場合は、より専門性の高い知識とスキルが要求されるため、開発を代行してくれるプロバイダーに依頼することも視野に入れなければなりません。パブリッシャーにとってはそのような存在を見つけ出すこと自体が難しく感じられるかも知れませんが、実はゲームプロバイダー側もパブリッシャーのようなビジネスパートナーを探しています。というのも、現在アプリゲーム市場は大手メーカーによる、ほぼ寡占状態となっており、新規参入のプロバイダーがヒット作を生み出すには膨大な広告費が必要なのでマーケットに参入すること自体が非常に困難な状況です。またApp StoreやGoogle Play Storeといったプラットフォームに支払わなければならない手数料も高額なため、小規模ゲームプロバイダーにとっては、大量のトラフィックが期待できるニュースパブリッシャーのメディアは非常に魅力的なものとなるのです。

どちらのリソースを用いるにせよ、開発さえしてしまえば、後は動線となるURLをWebメディアのHTMLに組み込むだけなので、非常に簡単に実装できます。

AnyManagerでできること

以上のように、様々な理由でHTML5ゲームを導入するWebメディアが増加している一方で、ゲームの開発に十分な人的・時間的リソースがないといった声や、費用対効果が不透明なものに初期投資はできないといった意見が聞かれます。これらの課題を解決するために、フォーエムではWebパブリッシャー向けにAnyManager GAMESをローンチしました。

AnyManager GAMESの特徴

 ・実装のための初期費用が無料

 ・クロスワードやパズルゲームなど数百種類に及ぶゲームを展開

 ・自社メディアのカテゴリページ配下にゲーム用のJavaScript​​タグを1行実装するだけで

  開発リソースを圧迫せずにHTML5ゲームの実装が可能

 ・バナー広告やインタースティシャル広告を表示することで広告出稿による収益化を図る

 ・AnyManager上でCPMや収益レポートを見ることが可能

(AnyManager GAMESを導入いただいた沖縄タイムス様)

実装の手順

  1. 専用のディレクトリの作成

ゲームページのための空のページをCMS上で作成します。

  1. 実装したいゲームの選択

自社メディアの特性に合わせたゲームを選択します。

  1. JavaScriptタグの実装

作成したディレクトリ内でゲームコンテンツを表示したい場所にタグを埋め込みます。

以上の手順だけで自社メディア上にHTML5ゲームを実装することが可能です。

私たちフォーエムは、AnyManagerを通じて、パブリッシャーに幅広い機能を提供してきましたが、今回は全く新しいサービスを提供します。AnyManager GAMESは、分析やマネタイズなど、今後もより多くの機能を充実させ、パブリッシャーの収益向上を目指していきます。

2,779ファンいいね
226フォロワーフォロー
2,464フォロワーフォロー

【12月6日更新】メディアのサブスクリプションを学ぶための記事まとめ

デジタルメディアの生き残りを賭けた戦略の中で世界的に注目を集めているサブスクリプション。月額の有料購読をしてもらい、会員IDを軸に読者との長期的な関係を構築。ウェブのコンテンツだけでなく、ポッドキャストやニュースレター、オンライン/オフラインのイベント事業などメディアの立体的なビジネスモデルをサブスクリプションを中核に組み立てていく流れもあります。

最新ニュース

【7月14日(木)開催】ロイター研究所の「Digital News Report 2022」を読む会

オックスフォード大学のロイタージャーナリズム研究...

関連記事