本命のTwitterキラー遂に登場、Instagramをベースにしたメタの「Project 92」【Media Innovation Weekly】6/12号

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今週のテーマ解説 本命のTwitterキラー遂に登場、Instagramをベースにしたメタの「Project 92」

イーロン・マスク氏の買収以来、迷走を続けるTwitterに対して懸念の声が強まっています。一方で、インフラにまで成長した同サービスを捨て去るのも現実的な対抗馬がありませんでした。マストトンのような非中央集権型のツールも注目されたものの、迫力不足でした。

このような状況でTwitterの後継ポジションを虎視眈々と狙っているのがFacebookやInstagramを運営するメタです。同社は最近の社員向けミーティングで開発中の「Project 92」を披露したそうです。これはInstagramをベースにしたTwitterキラーと言われるプロダクトです(The Verge)。

最高製品責任者のクリス・コックス氏は「Twitterへの対応」として紹介した新アプリはコードネーム「Project 92」と呼ばれていますが、正式には「Threads」になる可能性が囁かれています。Instagramをベースに、アカウント連携ですぐに利用開始できます。マストドンなどが採用する分散型ソーシャルプロトコルの「ActivityPub」に対応しているため、フォロワーを別のアプリに移行することもできるそうです。

コックス氏は「安全性、使いやすさ、信頼性」がアプリの目標であると述べて、こうした特徴がクリエイターを呼び込むことに繋がるとしました。既にDJスライムなどの著名人がアプリを使うことに同意していて、オプラやダライ・ラマなどと協議をしているということです。

このプロジェクトはInstagramの責任者であるアダム・モセリ氏がリードしているということです。

分散型への転換点となるか?

新しいアプリはどうなっていくでしょうか?Twitterのユーザー数は3.5億、対してInstagramは10億以上です。こうした規模を活かすことができれば、一夜にして巨大なプラットフォームが誕生することも夢ではありません。

また、分散型のプラットフォームという点も見逃せません。新アプリは「ActivityPub」をサポートし、マストドンなどのサーバーと繋がります。マストドンは分散型ソーシャルメディアと呼ばれ、誰でもサーバーを構築して、自分のソーシャルメディアを構築できるツールです。世界で10億以上がアカウントを保有するInstagramとの連携で、10億人が分散型のソーシャルメディアに流れ込むとすると大きな転換点になる可能性があります。

テック業界を報道するThe Informationは3月、これまでウォールドガーデンの閉じた世界を築き上げて、非常に収益源の高い世界を構築したメタにとって「前代未聞の取り組みだ」と指摘しました。また、この新アプリが成功すれば、FacebookやInstagramでも分散型の世界を導入し、何かと批判を浴びるモデレーションやルール構築で、複数の異なる世界観を持ったサーバーを作っていくこともできるのではないかと述べています。

「ActivityPub」で繋がる世界はFediverseと呼ばれていて、直近ではTumblrやFlipboardといったメディアも参加を表明しています。

収益化の方法はあるのか?

ウォールドガーデンと対称的な分散型のソーシャルメディアになるとすると、気になるのは収益化の方法です。こうした形態で十分な収益を上げる方法は未だ確立されていません。前述のThe Informationは、ブロックチェーンと組み合わせて、トークンやNFTを収益源にする方法が模索されたものの、昨今の市場低迷もあり、上手くいってないと伝えています。

広告で巨大なビジネスを構築してきたメタが、この観点でどのような回答を用意するのか興味深いですね。また、この実験が上手く行けば、FacebookやInstagramの分散化も現実味を帯びてくるかもしれません。

◆ ◆ ◆

サービスの開始時期は未定ながら、できるだけ早い時期に登場させたい意向です。メディアにとっても新しいプラットフォームの登場は歓迎したいところです。また、こうした分散型の取り組みにメディアとして積極的に参加していくこともアプローチの一つとして検討したいところです。

今週の人気記事から メディアジーンが台湾TNLと経営統合、米ナスダックに上場へ

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編集部からひとこと

梅雨らしい季節になってきました。暑くて、ジメジメして、うんざりですが、何とか気合で乗り切っていきたいところです。繰り返しですが、メディアジーンとNTLの経営統合は驚きでした。ムーンショット狙っていかないといけないですね。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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