情報社会・情報通信領域の研究機関である国際大学グローバル・コミュニケーション・センターが、20件の実際のフェイクニュースについての行動を調査した結果として、調査研究レポート「フェイクニュース―withコロナ時代の情報環境と社会的対処―」を発表しました。調査対象は、15~69歳の男女5,991名です。
本調査では、2020年1月~2020年7月の間にファクトチェックされた、新型コロナウイルス関連10件及び国内政治関連10件、合計20件の実際のフェイクニュースについての行動を調査しました。政治フェイクニュースの内訳は、リベラル派にポジティブなもの5件、保守派にポジティブなもの5件でした。
目次
政治フェイクニュースに接触した人の81.2%が偽情報だと見抜けていない
新型コロナ関連フェイクニュースを偽情報と気付いていない人は接触者の41.1%に留まっていたのに対し、政治関連フェイクニュースについては81.2%が気付いておらず、年代による差もありませんでした。
新型コロナ関連フェイクニュースで比較的少なくなったのは、元より疑わしいものが多かったことと、マスメディアやネットメディアで幅広くファクトチェック結果が報じられたことが要因と考えられます。
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新型コロナウイルスフェイクニュースを偽情報と見抜くには情報リテラシー向上が有効
回帰分析により、フェイクニュースの真偽判定能力に影響を与える要素として、リテラシー、メディア接触・信頼、マスメディアへの不満・生活への不満が挙げられました。
情報リテラシーが高い場合、新型コロナ関連フェイクニュースの真偽判定能力も高くなることが分かりました。ここでいう情報リテラシーとは、「筆者の意見が入った文章かわかる」「文章から確実に言えることが何かわかる」といった能力のことです。
また、SNSやメールへの信頼度が高いと、フェイクニュース真偽判定能力が低くなる傾向がみられました。その一方で、マスメディアへの不満や自分の生活への不満が大きい場合も、フェイクニュース真偽判定能力が低い傾向になることが明らかになりました。
全体の1%以下のスーパースプレッダーがフェイクニュース拡散の約95%を占める
フェイクニュース20件について、大量の人に拡散した「スーパースプレッダー」は全体でわずか1%以下でした。しかし、この人達が拡散した数(広めた先の人数)が全体の約95%を占めており、ごく一部の拡散者がフェイクニュース拡散の大部分を担っていることが分かりました。
■調査概要
対象:15~69歳の日本に住む男女5,991名
実査期間:2020年9月2日~9月6日
調査方法:インターネット調査