デジタルメディアを救うのは「収益源の多様化と革新」BuzzFeed CEOがSXSWで語る

BuzzFeed CEOのJonah Peretti氏はSXSW 2019で「インターネットを救うには?」というテーマで講演を行い、苦境にあえぐデジタルメディアの進路、プラットフォームに対する批判、メディアを通じた社会の分裂に対する危機などについて話しました。 Peretti氏はデジタルメデ…

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BuzzFeed CEOのJonah Peretti氏はSXSW 2019で「インターネットを救うには?」というテーマで講演を行い、苦境にあえぐデジタルメディアの進路、プラットフォームに対する批判、メディアを通じた社会の分裂に対する危機などについて話しました。

BuzzFeedの創業者でCEOのJonah Peretti氏。ハフィントンポストの共同創業者でもある

Peretti氏はデジタルメディアの苦境について、プラットフォームが良質なコンテンツを制作するメディア企業に対して十分に支払ってこなかったと指摘。一方で、コンテンツの流通に特化しているがゆえにプラットフォームは悪意のあるコンテンツを見極められず、その流通促進を食い止められていないが、両者の協力は徐々に始まっていると述べました。

一例としてFacebook動画では、2018年第1四半期には50万ドルの収益しか上げられなかったものが、2018年第4四半期には300万ドルにまで増加しているとしました。また、YouTubeでは2017年1月には30%の動画しか収益化できてなかったのが、2018年11月には70%まで拡大したそうです。5年間でこれらのプラットフォームからの収益は12倍に改善し、昨年は8400万ドルに上ったとのこと。

一方でプラットフォームに依存しないビジネスモデルも求められています。一例としてPeretti氏は立ち上げたばかりの「ブランドセーフネットワーク」を挙げ、クライアントからの強い反応に驚いたと述べました。このネットワークはFacebook、YouTube、BuzzFeedを横断し、月間50億以上のビューを誇るとのこと。

「プロダクトショーケース」は「買い物ガイド」「ギフトガイド」など商品の直接コンバージョンを促進する記事への取り組みで、アフィリエイトのビジネスモデルになります。ここにスポンサー商品を入れていくような取り組みも始まったようです。Amazonへの送客元のトップ5にBuzzFeedはランクインしているとのこと。

インフルエンサーマーケティングにも勝機を見出しているようです。インフルエンサーは個人で活動していることが多く、「BuzzFeed Network」は事務所的に仕事を振ったり、共同でコンテンツを作って発信するというような取り組みです。

料理動画の「Tasty」ではブランドとの商品の共同開発も活発です。ウォルマートとの「Tasty Kitchenware」(台所用品)、メイシーズとの「Goodful Homeware」(家庭用品)、スコッツ・ミラクル・グローとの「Lunarly」(ガーデニング関連)などがあります。

Peretti氏はこれらの取り組みから、デジタルメディア企業は「プラットフォームがフェアな支払いをすること」「メディア企業が収益源の多様化と革新を図ること」を通じて、更なる成長機会があると指摘。一方で、動画やテレビに進出したデジタルメディア企業については「良質なテレビネットワークがある中で、貧相な番組を作りにいくのは誤っている。デジタルでしか出来ない事を目指すべき」と批判しています。

BuzzFeedが取り組んでいる動画コンテンツの例として挙げられたのは、

ツイッターのために作られた双方向のショー「AM to DM」
ゲーム『シムズ』で赤ちゃん100人に挑戦するプロジェクト
「IMHO」といったら? というSlackでの問から生まれた、みんなの意見を聞くという番組。Hは「Hunble」なのか「Honest」なのか、という投票を行った。

講演の後半でPeretti氏は「Cultural Cartography」と呼ばれる、BuzzFeedが社内で共有している、それぞれのコンテンツがどういう役割を持つのかという地図を紹介しました。さらに、インターネットの変遷に触れながら、(ヤフーが確立した)ビュー、(Googleが確立した)クリック、(Facebookが確立した)シェアという価値観に続くものとして、現実世界での行動を喚起するものに取り組まなくてはならないと述べました。


行動を喚起するコンテンツの例として挙げられたのは、

廃棄食物から作物を植える方法を紹介したビデオは広く視聴され、実際にトマトを育てたというような人の声が多数寄せられたという
売上不振だったLA唯一のプエルトリコ料理のフードトラックはサイトで紹介され、全米各地から集客するように

そして、様々な問題が提起されているインターネットの世界においても楽観主義は捨ててはならず、前向きにインターネットでしか出来ないコンテンツの提供や、未来に向けてすべきと感じる事に各自が取り組むことが「インターネットを救う」事に繋がるとPeretti氏は述べ、講演を締めくくりました。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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