ヤフーとLINEという巨人の経営統合によって、重複する様々なサービスがどうなっていくかがユーザーにとっても大きな関心事ですが、両首脳は「統合後に決めていくもので、現時点では何も決まっていない」と繰り返しました。
特に世間の関心が強いスマホ決済についてヤフー川邊社長は「政府が後押ししても、キャッシュレスはまだ3割程度。それもクレジットカードが圧倒的で、Pay系は5%程度のシェアしかないのではないかと考えています。まだまだ切磋琢磨して伸びていかないと意味がありません」とコメント。
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川邊氏は「今日全社員集会をやって、これから手続きを終えるまでの1年間はあくまでも別会社。切磋琢磨する相手なので、思いっきりLINEと戦え、どちらが良い商品を作れるか思いっきり勝負しろ、と言いました」とコメント。LINEの出澤氏もこれに応じて「私も同じことを言ってきました。この1年間は、もっと強い姿になって統合を迎えるための期間ではないかと思います」と話しました。
一方で、独占禁止法への対応で、統合することによって特定の分野のシェアが著しく大きくなる部分は少ないのではないかという見解も示されました。「片方が全く取り組んでない領域も多く、補完し合うというのが最大のシナジーだと考えています」(川邊氏)
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今回の統合のスキームでは両社による取締役会の下部に「プロダクト委員会」を設け、両社から同数の委員を専任。さらに委員から最高プロダクト責任者、Chief Product Officer(CPO)を置き、当初はLINEの慎ジュンホ氏とすることが決められています。サービスについて徹底的に議論しながら、両社が譲らない場合はCPOが決断すると質疑でも説明されました。LINEの生みの親である慎氏に新たなプロダクトを託す形になります。
一方で既存のプロダクトについてはリリースで以下のように説明されています。
プロダクト委員会は、ZHD及びLINEの経営統合によるシナジーが最大化するよう、ZHDグループ及びLINEグループ間で重複するプロダクト(決済、ニュース等)の統合及び棲み分けな関する方針を合議の上で決定する。但し、統合対象となるものについては、本取引が完了した時から3年以内を目処に統合が完了されるよう決定する。なお、かかる方針の決定に関しては、プロダクト委員会の決議が可否同数となった場合、プロダクト委員会の全委員の過半数をもって決するまで合議を継続するものとし、CPOは最終的な決定権限を有さないものとする。