本記事はThe Conversationに掲載された、オーストリアのUniversity of South AustraliaのDamien Spry教授による記事「It’s not ‘fair’ and it won’t work: an argument against the ACCC forcing Google and Facebook to pay fornew」をCreative Commonsのライセンスおよび執筆者の翻訳許諾の下、掲載するものです。
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GoogleとFacebookは、オーストラリア競争消費者委員会のメディアの交渉に関する草案の公開を受けて、オーストラリアにおけるニュースサービスを制限したり、削除したりすることをほのめかしています。
Facebookは草案が法的拘束力を持つようになれば、オーストラリアのFacebookとInstagram上で出版社やユーザーが地域や海外のニュースを共有できる機能を停止すると発表しました。
Googleはオーストラリアのニュースサービス機能を制限すると明言はしないものの、スペインで2014年に行ったような制限の可能性をほのめかしてきました。
この草案が支持されている理由は大きく2つあります。1つ目は、デジタル広告市場におけるGoogleとFacebookの優位性により、オーストラリアのメディアが破綻の危機に瀕しているためです。
2つ目は、GoogleとFacebookは市場を支配しているゴジラ的存在であり、あらゆる規制に対して抵抗しているためです。
規制がデジタル広告業界における反競争的な部分に対処しているのは明らかです。しかし、私はACCCの草案の有効性について疑問を持っています。草案は、ニュースメディア企業がプラットフォームに掲載されたオーストラリアのニュースコンテンツの対価を得るために、GoogleやFacebookと交渉することを可能にします。
しかし、私は交渉がメディアにとって利益をもたらすものになるとは思っていません。また、この草案は公平性が担保されていないと思っています。
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