ニューズ・ コーポレーションが、米出版大手Simon&Schusterの買収に名乗りを上げたと、ニューヨークタイムズが報道しています。同社は、すでにHarperCollinsを傘下に収めており、買収が成功すれば5大出版社のうち2社をグループ化することになります。Penguin Random Houseとともに、米国出版界を“ビッグ2”が支配する時代が訪れるかもしれません。
Simon&Schusterは、マーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」やデール・カーネギーの「人を動かす方法」など、有名ベストセラーを多く出版してきた大手出版社です。
しかし、一時期業績不振に陥る中で2006年に米大手放送網CBSの傘下に入りました。そして、2019年にCBSが通信大手Viacomと合併後は、ViacomCBSグループの出版社として存続してきました。
そんな中、2020年3月にViacomCBSグループがその売却の方針を明らかにし、成り行きが注目されていました。
ニューヨークタイムズによると、ニューズ・コーポレーションのほかに、Penguin Random Houseなどが入札に参加しており、オファーの1つは17億ドルを上回る金額だといいます。
この動向について、翌日になって英フィナンシャルタイムズも報道しています。これによるとSimon&SchusterをPenguin Random Houseが買収した場合、書籍市場の約3分の1、ハードカバーフィクション市場の5割のシェアを持つ強烈な支配力を持つ出版社になるとのことです。いずれにしても、米国書籍市場のさらなる寡占化は避けられないものとみられます。

なお、2020年のSimon&Schusterは、メアリー・トランプの「世界で最も危険な男」を出版するなどベストセラーを連発しているところです。新型コロナ禍の中で業績を大きく伸ばしていて、米国の出版業界メディアPublisherWeeklyによると、2020年第3四半期の売上は、昨年同期比28.6%の増の2億7900万ドル。EBITDA(減価償却前調整後営業利益)は5800万ドルでした。