KKR、サイモン&シュスター社を約16億5000万ドルで買収の交渉中

ウォールストリートジャーナル紙の報道によると、サイモン&シュスター社をプライベート・エクイティ会社のKKRが約16億5000万ドルで買収する方向で交渉を進めていることがわかりました。

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KKR、サイモン&シュスター社を約16億5000万ドルで買収の交渉中

ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、サイモン&シュスター社をプライベート・エクイティ会社のKKRが約16億5000万ドルで買収する方向で交渉を進めていることがわかりました。

サイモン&シュスター社は、親会社であるパラマウント・グローバルが、昨年ペンギン・ランダムハウスへの売却に失敗した後、あらためて売却を試みていました。他の入札者には、ウォール・ストリート・ジャーナル紙と同じくニューズ・コーポレーション傘下のハーパーコリンズ・パブリッシャーズや、アブダビを拠点とする政府系資産運用会社ムバダラ・インベストメント社の支援を受けた投資家リチャード・ヒューロウィッツがいました。

サイモン&シュスター社は1924年に設立され、100年近い歴史がある老舗出版社です。アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドからジェイソン・レイノルズ、アンソニー・ドーア、ウォルター・アイザックソンまで、多くの作家を輩出してきました。今も多くの著名作家を擁する出版社をめぐる売却は数年にわたって行われましたが、ようやく終止符が打たれたことになります。同社の2022年の売上高は、19%増の11億8000万ドル、営業利益が16%増の2億4800万ドルとなり、好調な1年でした。 2023年第1四半期、同社の売上高は、19%増の2億5800万ドル、営業利益は16%増の5800万ドルになっています。

KKRがパラマウントと協議している出版社の買収価格は、サイモン&シュスター社がペンギンランダムハウス社との取引で提示した22億ドルよりも低いものの、パラマウントはこの取引が破綻した後、2億ドルの契約解除料を受け取り、2020年の最後の売却から今回の売却までの間にサイモン&シュスターが生み出した収益から利益を得ているとのことです。

KKRはプライベート・エクイティやクレジットなどの戦略で5000億ドル以上の資産を運用する投資会社です。KKRはメディア分野では有名で、ポリティコやビジネス・インサイダーを所有するドイツのメディア・コングロマリット、アクセル・シュプリンガーに投資しています。

パラマウント・グローバル社は、2020年3月にサイモン&シュスター社を売りに出し、その売却益をビデオストリーミング事業の支援に充てると説明しています。パラマウント社はまた、ケーブルチャンネルBETとVH-1、ストリーミングプラットフォームBET+を所有するBETメディアグループの株式の過半数を売却しようとしています。同社は8月7日(月)に第2四半期決算を発表の予定です。

《前田邦宏》

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前田邦宏

メディアイノベーション見習いスタッフ。海外調査の最新動向を担当。分野を問わず、調べ物が好き。

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