Netflixが約13兆円でワーナーを買収──世界エンタメ市場を塗り替える「史上最大のストリーミングM&A」の衝撃

・Netflixは約8.3兆円でワーナー・ブラザースを買収し、コンテンツと制作力を強化する
・規制審査や競争環境の中、巨大IPと国際展開の拡大で市場リーダーを目指す
・世界のエンタメ構造がNetflix中心の四極体制に進み、競争激化が予想される

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Netflixが約13兆円でワーナーを買収──世界エンタメ市場を塗り替える「史上最大のストリーミングM&A」の衝撃

Netflixとワーナー・ブラザース・ディスカバリー(Warner Bros. Discovery / WBD)が、映画・テレビスタジオおよびHBO/HBO Maxを含む「Warner Bros.」の買収で最終合意したと発表しました。

買収額は総企業価値で約827億ドル(約13兆円)に達し、ストリーミング時代におけるコンテンツ企業の勢力図を大きく変える取引となります。WBDが進める事業分離が完了したうえでの買収となるため構造は複雑であり、Netflixにとっては事業領域の垂直統合を一段と進める内容です。

今回の買収では、規制当局の承認プロセスが最大の焦点の一つになります。制作スタジオと巨大配信プラットフォームの統合は市場寡占を招く可能性が指摘される一方で、配信市場にはAmazon、Apple、Disneyなど複数の巨大プレーヤーが並び、競争環境が多極化しています。Netflixが取引完了時期を12~18カ月後と見込むのは、こうした複合的な審査プロセスを織り込んでいるためとみられます。

本件は、WBDが2025年に発表した2分社化計画の完了(2026年Q3予定)を前提としており、Netflixがハリウッドの“百年企業”の象徴を取り込むという歴史的な転換点でもあります。コンテンツ資産、制作体制、国際配信能力が統合されることで、競争軸はさらに激化すると考えられます。

現金+株式で1株27.75ドル、総額827億ドルの大型取引


《Manabu Tsuchimoto》

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デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの事業統括やM&Aなど。メディアについて語りたい方、相談事など気軽にメッセージください。

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