少し前になりますが、リスボンで開催されたWeb Summit 2025のメインステージに、ニューヨーク・タイムズ会長兼パブリッシャーのA.G.サルツバーガー氏が登壇しました。
NPR CEOのキャサリン・メイヤー氏との対談形式で行われたこのセッションは、分断が深まり、報道機関への不信が拡大する中で、独立したジャーナリズムをいかに維持するかという、メディア経営にとって避けて通れないテーマを正面から扱いました。
サルツバーガー氏の発言の中心には、2024年にワシントン・ポストへ寄稿した論考で示した「反報道のプレイブック」があります。民主主義が形式上は維持されていても、権力者が報道機関に対し、法制度や経済的圧力を用いて徐々に自由を奪っていく構造的な手法です。同氏は、ハンガリー、インド、ブラジル、ポーランド、トルコなどの事例を調査した結果、国や文化が異なっても共通するパターンが存在すると指摘しました。




