AIがニュース流通の構造を大きく変えるなか、海外主要メディアによるPerplexity AIへの法的措置が一気に加速しています。ニューヨーク・タイムズ・カンパニーは12月5日、Perplexityを著作権侵害で提訴しました。
ニューヨーク・タイムズの訴状によれば、Perplexityは同紙の記事を「verbatim(原文そのまま)」あるいはほぼ同一の形で再提示し、ユーザーに「ニューヨーク・タイムズの購読を不要にする代替サービス」を提供していたとされます。これは要約生成の領域を超え、出版社のビジネスモデルを根底から揺るがす行為として強い反発を呼んでいます(ガーディアン)。
また、Perplexityの回答には、ニューヨーク・タイムズが報じていない内容が事実であるかのように表示されるケースもあったとされ、同社はこれを「誤情報(ハルシネーション)の不正な帰属」と主張しています。ブランド毀損リスクがあるとする点は、メディア企業がAI時代に直面する新たな課題を象徴しています。
ニューヨーク・タイムズの広報担当者 Graham James 氏 は、Perplexityの仕組みに強い懸念を表明しています。
「Perplexityは retrieval-augmented generation(RAG)と呼ばれる仕組みを通じて私たちのコンテンツを利用し、自社サービスを動かしています。RAGはインターネットをクロールし、私たちのペイウォールの背後にある記事を盗み、リアルタイムでユーザーに届けるものです。本来、こうした記事は購読者だけがアクセスできるべきものです。
私たちはAIの倫理的かつ責任ある開発を支持しますが、Perplexityが無許諾でコンテンツを利用し、製品開発と販促に使用していることには断固として反対します。私たちの仕事の価値を認めようとしない企業には、引き続き責任を問う姿勢です。」
「ペイウォール突破」という言葉まで用いて批判していることは、今回の対立がビジネス上の深刻なリスクと捉えられていることを象徴しています。

