Amazon Ads「unBoxed Tokyo 2025」レポート、AI活用と広告プラットフォーム統合

・Prime Video広告の導入成功と、Amazon DSP・スポンサー広告の管理画面統合による広告運用の効率化
・AIを活用した新機能(Brand+、Performance+、Ads Agent、動画生成ツール)による成果向上と業務効率化の実現
・若年層へのリーチ拡大と、大正製薬・トリドールなど具体的な広告効果事例の紹介

広告 アドテクノロジー
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Amazon Adsは2025年12月10日(水)、年次カンファレンス「unBoxed Tokyo 2025」をザ・プリンス パークタワー東京内で開催しました。こちらのイベントでは、動画広告の進化、AI技術を活用した新機能や広告プラットフォームの統合など、多岐にわたる発表が行われました。

基調講演およびプレス向けセッションに関するレポートを、本記事でお届けします。

Prime Video広告の導入成果と統合プラットフォームの実現

最初のプレゼンでは、Amazon Ads Vice President IX, CA, APAC & Adapt(ICAA)のTamir Bar-Haim(タミル・バルハイム)氏が登壇。Amazon Adsの日本におけるリーチの広さと、Prime Video広告の導入による成果について語りました。

「現在、Amazon Adsは日本国内において、Amazon内外で月間推定6,500万人以上のオーディエンスにリーチする規模へと成長しました※1。特にPrime Videoにおける広告導入は大きな成功を収めており、ローンチ後6ヶ月以内にPrime Video広告のキャンペーンを実施した広告主様の約72%が、既に次回キャンペーンの実施を決めています※1」と説明。レストランチェーンの「トリドール」などの事例も挙げ、Prime Video広告を活用し、優れた費用対効果と来店単価の改善を実現していることを強調しました。

※1:Amazon社内データ(2025年11月)

さらに、広告運用の効率化に向けた重大なアップデートとして、Amazon DSP(デマンドサイドプラットフォーム)とスポンサー広告の管理画面の統合も発表されました。

これまで別々だったログインやインターフェースを統合し、ストリーミングTV広告からスポンサー広告まで、単一のプラットフォームでキャンペーンを実施できるようになります。これにより、直感的な商品名の入力やナビゲーションが可能になり、複数のチャネルを横断したキャンペーン管理が劇的に簡素化されます。

加えて、米国ですでに導入されている「インタラクティブ動画広告」を、来年日本でも導入することを明らかにしました。これは、動画広告を見ながら詳細情報を得られる機能であり、米国ではブランド認知度が30%向上するなどの成果が出ています※2

※2:Kantar社の調査、米国、2024年3月8日~3月24日、n=1132

成果と効率を最大化するAIソリューション

続いて登壇したAmazon Ads Director, Demand Tech ExperiencesのMark Craig(マーク・クレイグ)氏は、広告主が直面する「成果の向上」と「業務効率化」という2つの課題に対し、AIを活用した解決策を提示しました。

まず、成果向上のためのツールとして「Brand+」と「Performance+」が紹介されました。

「Brand+」を導入した広告主は、商品詳細ページの閲覧数が71%※3、新規顧客のブランド認知が42%増加※3。さらに、コンバージョンを加速させる「Performance+」では、Amazonで販売を行うブランドにおいて、ROASが34%向上するという結果が出ています※4

※3:Amazon社内データ(2025年6月~9月)

※4:Amazon社内データ(2025年2月)

業務効率化の革新的なツールとしては「Ads Agent」を発表しました。これは生成AIを活用し、自然言語での対話を通じてキャンペーン管理や分析を支援する機能です。

Ads Agentを使えば、自然言語で問うだけで、AIがオーディエンス設定を提案・設定してくれます。この機能は、日本の広告主向けに2026年第1四半期より順次提供される予定となっています。また、Amazon Marketing Cloud(AMC)※5経由でコーディンの専門知識がなくも、高度なオーディエンス構築や広告のキャンペーン分析、測定を可能にします。このAMC経由でのインサイト分析はすでに提供を開始しています。
※5:Amazon が提供するデータクリーンルームソリューション。広告主は AMC を利用して、自社のファーストパーティーシグナル、 Amazon のファーストパーティーシグナル、サードパーティーパブリッシャーなどから得たシグナルを安全に連携・分析することで、 オーディエンスの行動をより深く理解し、広告効果を測定・最適化することが可能。

コンテンツ戦略と若年層へのリーチ拡大

Prime Video ジャパン コンテンツ事業本部 本部長である石橋陽輔氏は、日本におけるコンテンツ戦略と視聴者層の変化について説明しました。

「広告導入後の9ヶ月間で、むしろ視聴者数とエンゲージメントは成長し続けています。特に広告導入後の第2四半期から第3四半期にかけて、全体の視聴時間が9%増加しました。これは、品質にこだわり抜いた独占・オリジナル作品への再投資が奏功している証拠です」と石橋氏は述べます※6

※6:Amazon社内データ(2025年5月~9月)

特に注目すべきは若年層の拡大です。Prime Videoの視聴者のうち、18歳~34歳の層が日本の平均人口比よりも高い割合を占めており、特に25歳~34歳では41%高くなっています※7

※7:Demographics & Consumer Profile(GWI)、2024年に計4回調査、対象国:日本、対象者:過去1ヶ月間にプライムビデオを利用した成人

石橋氏は「ソーシャルメディアでのエンゲージメントが前年比55%増加しました※8。これは、Prime Videoが単なる視聴体験を超え、日常の話題の一部になっていることを示しています」と語りました。

※8:Meltwater Radarly、Prime Video & Japan. 2024年のオーガニックおよび有料ソーシャルエンゲージメント(2023年と比較したときのパーセンテージ変化)

ゲスト登壇:お笑い芸人 ハナコ 秋山寛貴氏

石橋氏のセッションの中では、Prime VideoのCMやオリジナル番組『ゴールデンコンビ』に出演しているお笑い芸人ハナコの秋山寛貴氏がゲストとして登壇しました。

秋山氏はPrime Videoの制作現場について、「どのテレビ局でも経験できないほど豪華なセットや規模感で、芸人としてのボルテージが上がります」と語りました。また、自身の視聴スタイルについては、「移動中の新幹線や現場の待ち時間にスマホで見ることが多い」と述べ、生活の隙間時間にエンターテインメントが浸透している実感を語りました。

フルファネルを実現する新機能と動画生成ツール

Amazon Ads Director, Global Growth Sales, APACのYiping Cheng(イーピン・チェン)氏は、認知から購入までをカバーする「フルファネル戦略」を紹介しました。

特に注目を集めたのが、AIによる「動画生成ツール」です。

商品画像や既存の動画をアップロードするだけで、AIがわずか5分以内に6種類の高品質な動画広告を自動生成でき、12月10日(水)より日本で利用可能です。これにより、リソースが限られた中小規模の広告主でも、魅力的な動画広告を簡単に展開できるようになります。

なお、こちらはAmazon Ads内のみでの使用に限り、他のソーシャルメディア広告等で使うことはできません。

事例紹介:Prime Video広告の効果検証

基調講演の最後を締めくくったのは、Amazon Ads ジャパン カントリーマネージャーの石井哲氏です。Prime Video広告のビジネス成長への貢献について具体的な事例を交えて説明しました。

具体的な成功事例として、以下の4社が挙げられています。

  1. 大正製薬: 「リポビタンDX」のキャンペーンにおいて、Prime Video広告接触後にスポンサー広告やディスプレイ広告に接触したユーザーは、そうでないユーザーと比較してコンバージョン率が約2.4倍※9になりました。

    ※9:大正製薬/電通調べ(2025年4月/7月)

  2. トリドールホールディングス(丸亀製麺): 位置情報とAMC(Amazon Marketing Cloud)を活用した分析により、Prime Video広告を含む動画メディア全体の来店純増効果が、平均値より23%高い※10という結果が得られました。

    ※10:トリドールホールディングス/電通調べ(2025年4月-8月)

  3. エディオン:Prime Video広告とOTT媒体で広告を配信し、AMC分析でリーチ重複率を検証しています。

  4. バンダイナムコエンターテインメント: スマートフォンアプリのダウンロード促進において、TVCMとPrime Video広告を組み合わせた施策が最も高い効果を発揮しました。

新機能の詳細や実演

基調講演後のプレス向けセッションでは、新機能の具体的な説明やデモンストレーションが実施されました。

まず担当者は、広告業界が直面する複雑性について3つの観点を提示しました。

学習コスト:多くの広告プラットフォームが様々な広告メニューや分析ツールを提供しており、それらを一つ一つ学ぶには多大なコストがかかります。

ツールの分散:Amazon AdsではAmazon DSP経由での広告とスポンサー広告で運用を管理するワークスペースが分かれており、それぞれで実施したキャンペーン分析などをするには手作業が必要でした。

煩雑なデータ:日々更新される広告メニューや評価指標が多すぎて、どれを見ればよいか判断が難しい状況がありました。

こうした課題に対する新機能として最初のプレゼンでTamir Bar-Haim(タミル・バルハイム)氏が発表したキャンペーンマネージャーの詳細機能を紹介、以下の要素が挙げられました。

アドバタイザーアカウントの統合

これまで別々だった広告アカウントを統合できるようになりました。

「今までは3カ国でキャンペーンを立ち上げる際、ブラウザで12個のタブを立ち上げて6時間かけてセットアップしていたものが、5分で完了できるようになります。時間換算で88%の効率化が実現します※11」とメリットを強調しています。

※11:出典:Amazon内部データ、2023年3月23日~2024年3月23日、スポンサー広告(ブランドストア、スポンサードプロダクト、スポンサードブランド、ディスプレイ広告)

統合レポーティング機能

スポンサー広告とAmazon DSPのレポーティングが一つの画面に統合されました。指標の名前や定義も共通化され、通貨換算も自動で行えるようになります。テンプレートを活用した効率的なレポート作成や、日別・週別・年別での集計、デバイス別・オーディエンス別の分析など、柔軟なカスタマイズが可能です。

AMCへのAI機能統合

AMCに自然言語でのクエリ生成機能が追加されました。SQLの専門知識がなくても、やりたいことを自然言語で入力するだけで、AMC SQLに自動変換されます。

まとめ

本イベントでは、Amazon AdsがAI技術を活用して広告運用の複雑性を解消し、あらゆる規模の広告主が効果的なマーケティングを実現できる環境を整備していることが示されました。

Prime Video広告の好調な成果や、プラットフォーム統合による効率化は、デジタル広告の新時代の到来を予感させるものと言えるのではないでしょうか。

《杉田大樹》

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