「戦略PR」を掲げて急成長している株式会社ベクトル。積極的なM&Aや投資を通じて、現在では連結で約50社を超えるグループに成長し、これまでの投資実績も130件を超えると言います。メディア領域でも積極的に投資を行っていて、JION、OPENERS、LAUGHTECHの3社を合併し株式会社スマートメディアを設立しています。

ベクトルの投資に対する考え方、スマートメディアに代表されるメディア領域への取り組み、今後の方針などについて、経営戦略部 部長で、スマートメディアの取締役も兼任する、戸崎康之氏にお話を伺いました。

―――まず自己紹介をお願いします

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アクシブドットコムという会社にほぼ新卒で入社し、15年近く在籍しました。アクシブドットコムはECナビ、VOYAGE GROUPという風に社名を変更しながら、今年から電通グループのCCIと経営統合してCARTE HOLDINGSになりました。私自身は企画職からスタートし、主にB2Cビジネスを長く担当し、VOYAGE GROUPのメディア事業担当の取締役やグループ会社のVOYAGE MARKETING代表を務めていましたが、経営統合を期に、新しい環境へチャレンジをしたいと考え退任し、ベクトルに入社しました。

―――どうして次のチャレンジにベクトルを選んだのでしょうか?

VOYAGEは他に類を見ないほど良い会社でした。会社の成長と一緒に様々なチャレンジができて、取締役まで経験できたのは本当に有り難く思っています。一方で、役職も上がっていき、どうしても主語が「会社」にならざるを得ないというのも感じていました。個人として、一部上場企業の取締役という肩書を捨てても外で戦えるのか? そういうことを30代も終わりに差し掛かるタイミングで考えると、この辺りで離れる選択肢もアリなのではないかと考えていました。

色々とお声がけして頂いたのですが、一番想像が付かないのがベクトルでした。世間のイメージと同様に、私もベクトルと言えばPRという認識だったのですが、知れば知るほど思った以上に幅広いビジネスを手がけていて、目指す未来ももっと高い場所にある。そういうところに魅力を感じました。グループも連結で約50社ほどになります。つまり社長が50人いるわけです。その取締役や幹部を数えると数百人になります。そういう猛者が集まった集団で、どれだけ戦えるかも試してみたいと思いました。

現在は経営戦略部の部長という肩書ですが、部下はおらず、副社長にレポートしながら、比較的フリーに動きながらグループ全体の課題解決、協業やM&A、新規事業の立ち上げなどに携わっています。また、メディア事業を統合したスマートメディアの取締役として、経営統合と今後の成長に向けた動きをしています。

戦略PRを掲げ、グループを形成しているベクトル

―――VOYAGEとベクトルでは投資に対する考え方は異なるのでしょうか?

大きく異なりますね。VOYAGEでは、VOYAGE VENTURESで出資はそれなりに行っていて私も投資委員会に入っていましたが、買収という意味ではKauli、ゴールドスポットメディア、CMerTVの3件のみでした。VOYAGEでは既存事業とのシナジーを重視していて、あまり離れた領域を手掛ける事はありませんでした。

一方のベクトルでは既に130件以上の投資を行っていて、事業シナジーがある案件は当然ながら、少し離れた領域でもキャピタルゲインが見込める案件は積極的に行っています。自分たちでは手掛けないけど伸びている領域に取り組む会社、まだまだ成長していないが経営陣が素晴らしい会社、こういうところにも投資をするケースがあります。投資判断の幅が広いと感じます。また、当然ながらDDは丁寧にやりながらも、判断のスピードは迅速に行える体制作りができています。

―――なるほど。投資先のどのような部分を見えていますか?

まずは経営者とチームメンバーが良いかどうかというのを見ます。次は戦略と事業モデルが良いかという点です。それからベクトルとのシナジーがあるか、という部分ですね。ベクトルはPRの会社と思われがちですが、スマートメディアのようなメディア領域、あしたのチームのようなHR領域、それらを支えるテクノロジー領域も存在します。そういう意味では幅広い事業でシナジー創出が可能なのではないかと思います。

―――ベクトルならではの投資先というのはありますか?

実はレイター投資も多いです。事業が順調に拡大してきたベンチャー企業では、IPO前、大型調達前などにPRで認知を広げたいというニーズが出てきます。そうした場合だと、ベクトルの戦略PR支援で投資先のバリューアップに直接的に貢献することができ、シナジーのある投資になります。ベンチャー企業でもタレントを起用してテレビCMを打つような事が増えていますが、そこで求められるノウハウやチャネルも手厚く支援できます。そこを期待してベクトルに声をかけて頂くケースも増えています。

―――買収後のPMIはどのように考えられていますか? スマートメディアは買収前の経営陣が残っていますね(※)

グループへの統合という意味では、ベクトルの大きな戦略に沿って貰う必要はあります。一方で、グループ会社として引き続き単独の会社として存続し、比較的独自性を大事にしながら経営してもらっているケースが多いです。最低限、経営指標等のコミットは求めますが、それ以外の自由度は割と高く、スマートメディアでもボトムアップで色々な戦略が持ち上がってきています。

経営陣については、世間ではロックアップを外れると辞めてしまうケースが多いように思いますが、僕らとしてはベクトルだからこそ出来る新しい目標を一緒に見つけながら、もう一段上のチャレンジをベクトルグループの中で挑戦するような仕組みが出来ないかと考えています。例えば、スマートメディアはIPOを目指しています。バイアウトを経験した起業家は、次はIPOを目指す人も多いのではないかと感じているので、それをベクトルのアセットを活用しながら実現するのも選択肢の一つとして考えています。子会社の上場を容認するのは珍しいと思いますが、ベクトルグループでは既に投資先を含めて、10社が上場に至っています。

※スマートメディアの代表取締役CEOの成井五久実氏は旧株式会社JIONの創業者で代表取締役だった

―――スマートメディアはどのような会社か教えてください

ベクトルの子会社だったJION、OPENERS、LAUGHTECHの3社が2018年10月に合併して設立されたのがスマートメディアです。「JION」「IIONNA」「OPNERS」「笑うメディア クレイジー」など合計1.5億PVを超えるメディアを運営しています。また、ラグルの提供しているCMS「Clipkit」を活用したコンテンツマーケティング支援も展開しています。様々なメディア出身者が集まったので人種も文化も異なりますが、今年に入って本格的にオフィスも統合して、「Update Media, Update Human.」という新しいビジョンを掲げ、まさにPMIの真っ最中です。

どのメディア出身者も若くて、尖った才能が集まっていますので、あまり枠にはめないというのは意識しています。大事なのは、相互理解・相互尊重で、無理に統合するのではなく、徐々に交流が生まれてボトムアップで面白い化学反応が生まれるのを期待しています。営業会社と違って、目立つ表面的な情熱ではなく、秘めているけど、とても熱いものを持っている人が多いと感じますね。

ベクトルグループのメディアを統合したスマートメディア

―――各メディアはベクトルグループに加わったことでどういったものを得られたのでしょうか?

一つ大きいのは強力な営業力を得たということですね。各社は、もともとはメディアを運営するということに特化していましたが、ベクトルの豊富なクライアントソースにアクセス出来るようになったのは大きいと思います。また、メディアはPRと平行して活用していくこともできるため、ベクトルの営業担当が同時に提案することで大きな座組の中に位置づけられるようになりました。単なる広告やタイアップではなく、より大きな施策が可能になりました。

また、メディアを運営していると、オウンドメディアの構築やコンテンツマーケティングの相談をされるケースもあります。そうした際には、ラグルの持つCMS「Clipkit」が活躍します。スマートメディアにもラグルの社員が常駐していて、連携を図りながら提案活動をしています。もちろん提案は「Clipkit」に限らずWordpressなども活用していますが、グループとして強力な武器を持っていることは提案にも優位に働いていると思います。

―――メディアはこれからどうなって行くでしょうか?

メディアの形はどんどん変わっていくと思います。noteのように、個人がメディア化していくのは一つあると思いますね。また、音声のようなフォーマットが更に巨大になっていく可能性もあります。そういう形はともかく、メディアに携わっていたいなと思います。ベクトルのグループということで、PRとメディアという異なる方向性ではありますが、広い意味で消費者に情報でありコンテンツを届けていくという未来を切り拓いていけると思います。

―――ベクトルから投資を受けることに興味を持っている経営者の方にメッセージがあればお願いします

一番お伝えしたいのは、ベクトルの持つアセットをもっと知って欲しいということです。PRが祖業で非常に強力な布陣を持っているのですが、それ以外にも、スマートメディアに代表されるようなメディア領域、あしたのチームのようなHR領域、AIやテクノロジー領域など、実は幅広い能力を持ったグループに成長しています。そしてこれらとシナジーのある事業というのも幅広いと思っています。少しハードルが高いと思われている面もあるようですが、メディア領域も含め、まだまだ投資やM&Aは積極的に行っていきますので、是非ご気軽に連絡いただければと思います。

特集: メディアとM&Aのリアル

ベクトル戸崎部長、じげん寺田CFO参加のイベントは6月19日開催

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Media Innovationのオフラインイベント、6月は「メディアとM&A」というテーマで、特集に参加していただいた、ベクトル経営戦略部 部長の戸崎康之氏と、じげん取締役執行役員CFOの寺田修輔氏を招いたイベントを6月19日(水)に開催します。ぜひお誘い合わせの上、ご参加いただければ幸いです。

■概要
日時 2019年6月19日(水) 19:00~22:00
会場 TIME SPACE 秋葉原 東京都千代田区外神田1-15-18 奥山ビル8階(JR秋葉原駅から徒歩2分)
主催 株式会社イード

■スケジュール
18:30 開場
19:00 開演、主催者挨拶
19:05 各登壇者からプレゼンテーション
    株式会社じげん 取締役執行役員CFO 寺田修輔氏
    株式会社ベクトル 経営戦略部 部長 戸崎康之氏
    株式会社イード 執行役員 メディア事業本部長 土本学
20:15 パネルディスカッション
20:45 懇親会
    軽食とドリンクを用意します
21:45 終了

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