政治とテクノロジーのメディアで長期的なビジネスモデルを構築する「The HEADLINE」の挑戦・・・特集「独立系メディアの新潮流」

「News worth reading.」を掲げて、政治やテクノロジーなどで深堀りした質の高いコンテンツを有料で配信している「The HEADLINE」。2ヶ月前に本格的なローンチをしてから既に100名以上の有料会員を獲得しているそうです。

特集 その他
政治とテクノロジーのメディアで長期的なビジネスモデルを構築する「The HEADLINE」の挑戦・・・特集「独立系メディアの新潮流」
  • 政治とテクノロジーのメディアで長期的なビジネスモデルを構築する「The HEADLINE」の挑戦・・・特集「独立系メディアの新潮流」
  • 政治とテクノロジーのメディアで長期的なビジネスモデルを構築する「The HEADLINE」の挑戦・・・特集「独立系メディアの新潮流」
  • 政治とテクノロジーのメディアで長期的なビジネスモデルを構築する「The HEADLINE」の挑戦・・・特集「独立系メディアの新潮流」

「News worth reading.」を掲げて、政治やテクノロジーなどで深堀りした質の高いコンテンツを有料で配信している「The HEADLINE」。2ヶ月前に本格的なローンチをしてから既に100名以上の有料会員を獲得しているそうです。

メディアを率いるのは、大学在学中に様々なメディアを運営し企業のメディア化なども支援する株式会社マイナースタジオを創業し、メンバーズに売却した後も同社代表を務めている石田健氏。「The HEADLINE」はある理由から会社ではなく、個人としてのプロジェクトとして運営されているそうです。

メディア事業に精通した石田氏はなぜ今、硬派なテーマの有料サブスクリプション型メディアを立ち上げたのか。どのような勝ち筋を見ているのか、聞きました。

大学在学中に株式会社アトコレを設立後、大学院での研究生活を経て、株式会社マイナースタジオを創業。2015年にメンバーズ社(東証一部)に企業売却。現在も同社代表として、複数メディアの展開やクライアント向けのメディア・マーケティング施策の構築などをおこなっている。また個人ではエンジェル投資家としても10社程度に投資中。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程(政治学)修了。

―――これまでの経歴を簡単に教えてください

大学在学中に2つの会社を創業しました。1社目はアトコレという会社で、同級生だった中川綾太郎(後にMERYを立ち上げ、現在はStand.fmを率いる)や成田修造(現在はクラウドワークス副社長COO)と3人で立ち上げたのですが、それぞれが別のやりたい事が見つかったこともあり長続きはしませんでした。私自身は大学院で政治哲学を本格的に学びたいという思いもありました。その途中で始めたのが2社目のマイナースタジオという会社で、メディア運営を手掛けた後にメンバーズに売却し、現在も代表を続けています。その傍らで投資や個人プロジェクトを幾つか手掛けていて「The HEADLINE」はその一つです。

―――起業のテーマにはどうしてメディアを選んだのでしょうか?

2つ理由があります。1つは時代的なことで、非常にメディアが注目されていたタイミングでした。中川のやった「MERY」も同時期でしたし、「ハフポスト」や「バズフィード」が大きく伸びている時期でした。もう1つは個人的に非常に関心を持っていたということです。もともと研究に興味があり、大学院に進んだのですが、研究をしたいという想いと、専門的な知見を広めたいという両方の想いがあり、メディア的なものに自然と関心が向きました。

―――マイナースタジオではどういったメディアを手掛けてきたのでしょうか?

もともとは、いくつかのメディアを運営していました。ただ、2015年当時は多くのキュレーション・メディアやバイラル・メディアが立ち上がり、資本力勝負になっていた部分もありました。広告モデルにいずれ限界が来て、サステナブルな運営ができるかは疑問だったので、B向けの事業として企業のオウンドメディア支援のようなこともおこなっていました。自社で立ち上げたメディアのノウハウを立ち上げから運用までパッケージ化して企業に販売するイメージです。

そういった部分が評価され、企業のデジタルメディア支援では国内有数の実績を誇るメンバーズに買収していただきましたが、現在ではメディアによる売上比率を落として、企業向けのサービスに注力しています。

―――そうした中で「The HEADLINE」の立ち上げに至ったのはどういった経緯があるのでしょうか?

メディアが長期的に生き残れるビジネスモデルを作らないといけないのではないか? という想いがありました。デジタルメディアはトラフィックを集めれば、広告でマネタイズが出来るという手離れの良いモデルでしたが、簡単には立ち行かなくなってきました。一方で、新聞社のようなクオリティの高いジャーナリズムもデジタルにおいては十分に機能しているとは言えません。

メディアのテーマとしては政治やテクノロジーを選びました。もともと大学院で政治哲学を学んでいたこともあって、関心がありました。特に、速報ニュースではない、深い論評や解説を読みたいという個人的な欲求があるのですが、そこをできているメディアは少ない。だから自分たちでやってやろう、という考え方です。

このような考え方で、政治やテクノロジーを、深く掘り下げていくメディアを、ビジネスモデルとしては有料のサブスクリプション型で立ち上げるに至りました。

ちなみに、日経新聞やNewsPicksが典型ですが、お金を払っているとビジネスに役立つ、というのが一番分かりやすく、大抵の有料メディアはそこに帰結します。「The HEADLINE」は敢えてそこを選ばず、お金を払うことによって知的好奇心を満足せる、という方向で作っています。これはとても難易度が高く、難しいからやっているという側面もあります(笑)。

The HEADLINEのウェブサイト

《Manabu Tsuchimoto》

関連タグ

Manabu Tsuchimoto

Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

特集