ポッドキャストメディアMedia Voicesは、約5年間にわたる200エピソードの公開から学んだ10の教訓を紹介しました。Media VoicesはChris Sutcliffe氏、Esther Kezia Thorpe氏、Peter Houston氏の3人が運営しており、メディア・パブリッシャー業界の著名人へのインタビューなど、新しいエピソードを毎週月曜日に公開しています。
定期的に更新することや、多様なゲストにインタビューすることの重要性を含む、次のような教訓を紹介しています。
1: 定期的に更新する
Apple Podcastに登録されている番組の75%は更新されておらず、9エピソード以上放送されたポッドキャストは16%しかないというデータもあります。このような状況を防ぐため、毎日、毎週、毎月など、定期的に更新する必要があります。クリスマスや夏休みなどの時期には、エピソードを公開しないときもありますが、次にいつ公開するのかという計画は常に立てており、それをリスナーにも伝えています。
2: 多様なゲストを迎えるための努力をする
インタビューをしただけで、業界全体の声を届けられていると言うのは簡単なことです。しかし、Media Voicesにとって重要なのは、有名なCEOなどにとどまらない多様なゲストから声を聞くよう努力することです。そのためにはたくさんの調査や働きかけが必要となり、多様なゲストを迎え入れることができているか常にチェックしなければなりません。
3: 事前に調査してからインタビューする
Media Voicesのようなインタビュー形式のポッドキャストでは、事前調査をして準備しておくことで、ゲストとの会話に違いが出てきます。ゲストがどんな仕事をしていて、なぜその仕事をしているのかを知っていてこそ、面白い質問ができるのです。
Media Voicesでは、ゲスト自身の答えを考えてもらいたいため、インタビュー前にゲストに質問を送るという方針をとっています。一方で、実際に話したときの内容によって方向性を変えることも重要で、話が別の面白い方向に進んだ場合には、質問を取りやめる準備もしています。
4: 適切な仕事の流れを構築する
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Media Voicesを開始して4年以上が経過した2020年初頭に、日刊ニュースレターの発行を検討しており、より効率的に時間を使うためには、仕事の流れを最初から最後まで見直す必要があると考えました。現在は日常的にPocketを使い、3人が読んだ記事を1つのスペースに保存・収集しており、これにより毎日のニュースレターの内容のバランスが保たれています。
各エピソードの脚本をまとめる際は、Googleドライブやドキュメントを頻繁に使用しています。その他のツールとして、フィードバックや日々のコミュニケーション用のWhatsApp、SNS運用のためのTweetDeck、音声の文字起こし用のOtter、ニュースレター運用のためのRevue、ウェブサイト運用のためのWordPress、ポッドキャストのホスティング用のPodbeanがあります。
5: 音質や編集にこだわる
以前、あるパブリッシャーの重役から、「Media Voicesのエピソードは好きだが、音質が良くないので聞くに耐えられない」と言われてしまったのをきっかけに、2017年末には音質を優先し、スカイプからキャストに切り替えました。また、3ドルから気軽に寄付できる支援サイト「ko-fi」での支援のおかげで、防音パネルや新しいマイクにも投資できました。
また、編集作業に関していくつかの工夫をしていますが、それでも編集作業には収録時の2倍から4倍程度の時間がかかっています。編集時間短縮のため、3人のレコーディングの設定を統一するようにしています。なお、ポッドキャスト制作のヒントを探しているなら、Chris Phinをフォローすることをおすすめします。
6: 期待値を管理する
ポッドキャスト業界では、聴取者に対する期待に大きなズレが生じている場合があります。たとえば、ウェブサイトは月に5万ページビューがあるためポッドキャストのリスナー数も同じくらいだろうと考える人もいますが、Media Voicesの経験からすると、ウェブサイトを訪れた人の3~8%程しかポッドキャストを聴取しません。
一方で、ポッドキャストのエンゲージメントはウェブサイトよりはるかに高く、1日のうち30分をエピソードの聴取に費やしています。Media Voicesでは月に4桁台のリスナーを獲得しており、さらに多くのリスナーを獲得したいと思っていますが、リスナーの質が量よりも重要であることは把握しておく必要があります。
7:番組を過小評価しない
何十万人ものリスナーがいないからといって、スポンサーやマネタイズにおいて番組を過小評価する必要はありません。Media Voicesでは以前、リスナー数ばかりを重視していてリスナーの価値を理解していませんでした。
しかし、セールスコンサルタントや業界の友人からアドバイスを受け、スポンサー付きエピソード「Conversations」の価格を2倍にしました。Conversationsは時間をかけて作られているので、値上げ後も毎週公開しているインタビューと同じくらい、もしくはそれよりはるかに良い結果が得られました。
8:リスナーとポッドキャスト以外で接点を持つ
ポッドキャストは一方通行のメディアのため、コミュニティを構築して育てるには、リスナーにリーチする別の方法が必要でした。そこでツイッターで新しいエピソードを紹介したり、業界のニュースについてコメントしたり、共有したりしています。
Media Voicesにとってツイッターよりも効果的だったのが、2020年5月に開始した日刊ニュースレターです。ニュースレターに登録されているユーザーを確認することで、リスナーの質を正確に測定できるようになりました。また、ニュースレターへの登録はMedia Voicesへのエンゲージメントの高さを示しているので、商業的な話をするときにも役立ちます。
9.業界の友人やファンと連携する
業界の友人を番組に招待したり、ニュースレターで友人が開催するイベントを紹介したりするなど、周囲の人をサポートすることはMedia Voicesを成長させるためにもとても重要だと考えています。
Media Voicesにはコアなファンがいて、定期的に手紙を書いたり、ツイートしたり、エピソードにコメントしたりしてくれます。これに対して時間をかけて返事をし、質問や疑問に回答することは重要で、ツイートやコメントをリスナーと共有してファンをサポートすることも重要です。
10: ポッドキャスト制作を楽しむ
ポッドキャスト制作を楽しんでいれば、それがリスナーに伝わり、リスナーも楽しんで聴いてくれるはずです。これまでの200回のエピソードでは、病院の駐車場や地球の裏側で収録したり、数々の業界のカンファレンスのステージ上でライブを行ったりして、運用している自分たち自身が楽しんできました。
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多様なゲストから話を聞く努力をし、事前に調査してからインタビューするなど、インタビュー形式の番組ならではの教訓も含まれており、Media Voicesと同様の形式を採用しているポッドキャストメディアにとって、こうした教訓は参考になりそ