収益多様化がメディアのサバイブの鍵、バズフィード崎川氏・・・メディア業界2022年に向けて(8)

今年もメディア業界は様々な事がありました。Media Innovationではいつもお世話になっている業界関係者の皆様に「2021年の振り返りと、2022年のメディア業界」というテーマで寄稿をお願いしました。年始にかけて順次掲載して参ります。いろいろな振り返りから、皆さんが…

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収益多様化がメディアのサバイブの鍵、バズフィード崎川氏・・・メディア業界2022年に向けて(8)
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今年もメディア業界は様々な事がありました。Media Innovationではいつもお世話になっている業界関係者の皆様に「2021年の振り返りと、2022年のメディア業界」というテーマで寄稿をお願いしました。年始にかけて順次掲載して参ります。いろいろな振り返りから、皆さんが2022年を考えるきっかけにしてもらえればと思います。

メディア業界の再編も2021年の大きなテーマでした。デジタルメディアで先端を走ってきたバズフィードによるハフポストの買収や、その後のバズフィードの上場も注目を集めました。朝日新聞からザ・ハフィントンポスト・ジャパンに移りCEOを務めていた崎川氏は正にその渦中にあった人物です。崎川氏が考える2022年、是非チェックをしてみてください。

崎川真澄
Buzzfeed Japan株式会社 CRO(Chief Revenue Officer)
朝日新聞社にて、NY駐在を含む広告局、経営企画室、テック部門、マーケティング本部、顧客データベース部等に在籍後、2017年5月、ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン取締役CEO就任。2021年5月よりBuzzfeed Japan株式会社のCRO職に就く。

今年のご自身の仕事を振り返っていかがだったでしょうか?

ともに黒字だったBuzzFeed Japanとザ・ハフィントン・ポスト・ジャパンが21年5月に合併しました。その後、新会社のビジネスがも順調に伸び、各種統合効果で大きな収入増を果たしたことが一番の成果だったと思います。

今年一番注目した出来事は何だったでしょうか?

やはり、コロナ禍中下での東京五輪、パラリンピックの開催だったと思います。コロナ感染者が減らない中での大規模スポーツイベントの開催の是非、国民の総意がない中でのトップアスリートによるコンペティションの位置づけ、パラリンピックではパラアスリートへの注目度がこれまでになく高まり、社会の中にあるバリアを減らし、多様性を認める共生社会を考える機会となるなど、我々日本国民にとっての様々な課題が提示され、発想の転換を迫る象徴的な夏だったと感じます。バズフィード・ハフポストも、SKIIやブリヂストン等の複数の五輪スポンサーや日本財団パラサポと多くの数々のコンテンツを作り、各企業やオーディエンスとともにスポーツとSDGsについて考える機会を多く持ち得ました。この流れを2030年までどんどん加速していきたいと考えています。

2021年の出来事で、今後の焦点となりそうな事は何だと思いますか?

金融緩和による株高やデジタルメディア界の先行きの不透明さも有り、米国で、主に規模の拡大を視野に入れた、メディアやアドテク会社のM&A やSPACの仕組みを使ったIPOが大変活発化したことだと思います。ひるがえって日本のメディア業界では、コロナ禍の影響で苦しむ媒体社が多い中で、一部のトップ雑誌社グループの業績のV字回復が印象的でした。近い将来、プラットフォーマーや一部インフルエンサーを含む、様々なレイヤーおよびサイズの各メディアの合従連衡が起きるように思います。

2022年への意気込みを聞かせてください

わたしたち商業コンテンツメーカーは、かたや各種プラットフォーマー、かたやユーチューバーなどのコンテンツクリエイターに挟まれ、自らの存在領域がどんどん狭められる、これまでに経験したことのない状況にあると解釈しています。

①記事由来のPVによるプログラマティック広告収入、②ネイティブアド等の記事広告による収入、③サブスクリプションによる購読料収入だけでは、今後デジタルメディアは立ち行かなくなるでしょう。そこで求められるのは、新たなメディアビジネスモデルの開発です。購読・広告収入以外の、メディアの各種リソースを利活用した収入をいかに増やしていくかが、これからのデジタルメディアのサバイバルの鍵と考えており、その開発やブラッシュアップに注力していきたいと思います。

《Manabu Tsuchimoto》

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Manabu Tsuchimoto

デジタルメディア大好きな「Media Innovation」の責任者。株式会社イード。1984年山口県生まれ。2000年に個人でゲームメディアを立ち上げ、その後売却。いまはイードでデジタルメディアの業務全般に携わっています。

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